飛べ!トラ病院の入院患者
2019/09/18
※2023年6月26日をもって、WWFロシア(Vsemirnyi Fond Prirody)はWWFネットワークから離脱しました。
ロシア沿海地方にある、シベリアトラのリハビリセンター(救護施設)から、ちょっと珍しく、嬉しいニュースが届きました。
二人の入院患者がめでたく退院した!というのです。
今回退院した「患者」は、トラではありません。
なんと、コウノトリです!
日本ではかつて一度絶滅し、今また多くの方々の努力によって、復活しようとしているコウノトリですが、海外ではアジア大陸の東部に分布。
その多くは、繁殖期の夏を極東ロシアの湿地帯などで過ごし、冬になると中国南部の沿岸へ「渡り」をすることで知られています。
しかし、生息地の開発などにより、今では2,500羽以下まで減少。IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでも「EN:絶滅危惧種」に指定されています。
実はWWFロシアは長年、このコウノトリの調査と保全にも力を入れてきました。
そうした中でこの7月、巣から落ちて救護された2羽のコウノトリが、このトラのリハビリセンターに運び込まれたのです。
幸い大きなケガもなく、巣立ちも間近だったようで、2羽はここで立派な若鳥となり、先日ついに、コウノトリが多く生息するユダヤ自治州の空に放たれた、とのこと。
また、その際には小型の発信器が付けられ、渡りルートの調査にも貢献してもらうことにしたそうで、さすが保護のプロであるロシアのスタッフ、抜け目がありません。
野生のコウノトリたちはこれから秋にかけて、このユダヤ自治州を中心とした湿地帯で獲物をとり、体力を蓄え、中国南部に向けて旅立つことになります。
若い2羽にとって、初めての渡りの旅は、長く、過酷なものになるかもしれませんが、どうか無事に成功するように。日本からも祈りたいと思います。