センザンコウ保護が一歩前進!ワシントン条約会議より
2016/09/30
南アフリカで開催されている第17回ワシントン条約締約国会議(CITES COP17)。
開始から6日が過ぎた会場では、参加している各国政府の代表たちが、人間による過剰な利用から野生生物を守るための議論を続けています。
その中で、私たちが注目する「センザンコウ」の保護について進展がありました。
センザンコウは爬虫類のようなウロコをまとった、とても珍しい哺乳類で、アジアとアフリカにそれぞれ4種が生息しています。
しかし、肉は食用、皮は皮革製品、そしてウロコは伝統薬の原料として特にアジアで多く利用され、今、世界で一番密猟されている哺乳類とも言われています。
センザンコウは、1995年に全種が条約の附属書IIに掲載され、アジア産については2000年から「輸出割当0(ゼロ)」という、実質的な輸出禁止措置が取られてきました。
しかしその後、アフリカ産の種に対する取引圧が高まり、アジアの種をアフリカの種と偽る違法取引も横行。
そこで今回の会議では、各生息国が、センザンコウ全種を附属書Iに移行して、国際的な商業取引を禁止する提案を含む、5つの提案を行ないました。
そして、この附属書Ⅰへの掲載について、先日合意が成立しました。
正式な採択はまだこれからですが、これによって国際間のセンザンコウの商業取引は、全面禁止となります。
しかし、必ずしもこれは万能の手立てとは言えません。
各国の状況を考えずに禁止を強行すると、審議でも指摘された通り、闇取引が活発化してしまう懸念があるためです。
とはいえ、大幅な個体数の減少や、種の識別の難しさなどの点から見て、今回の合意は、センザンコウ保護に向けた一歩として期待されます。
また、これら課題に対する対策強化に関する新しい「決議」と「決定」も合意が成立した、との情報が入ってきました!
今後は、生息国と消費国、双方での密猟や違法取引への対策強化が求められることになります。
センザンコウは日本はほとんど輸入していない動物ですが、こうした取り組みににも、条約の締約国としてぜひ貢献してほしいと思います。(トラフィック 西野)