そのウナギ、本当に食べても大丈夫?


シラスウナギが昨年の歴史的不漁から一転、豊漁となり、高騰していたウナギの販売価格がやや値を下げ、ウナギ商戦が活発化しています。
シラスウナギとはウナギの稚魚のことです。わたしたちが消費するウナギのほぼすべては、この野生のシラスウナギを捕獲して養殖したものですが、近年は養殖のために海外からもシラスウナギを輸入しています。

©WWF Japan

ニホンウナギはIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでも2番目に絶滅の危険性が高いとされるENランクに指定されています。ニホンウナギが減少した要因は、河川環境の悪化や気候変動による海洋環境の変化などが指摘されていますが、乱獲と大量消費も大きな原因のひとつとされています。

高値で取引されることから「白いダイヤ」とも称されるシラスウナギですが、IUU(違法・無報告・無規制)漁業も問題となっています。シラスウナギ漁は、各都府県知事の許可を受け、冬から春の間行われますが、国内で漁獲されたシラスウナギの量は出所不明の「無報告」が存在します。この無報告の割合は、国内で漁獲される量の4~5割に相当します。
さらに海外から輸入されるシラスウナギも、その約8割(2018年1~12月の貿易統計では99%!)が、実質シラスウナギ漁が行われていない香港からのもので、こちらも出所不明となっています。

シラスウナギの供給量(水産庁資料をもとにWWF作成)

シラスウナギの供給量(水産庁資料をもとにWWF作成)

つまり私たちが食べる養殖うなぎは、国産であっても半数以上は出所不明なシラスウナギから育てられたものなのです。

7月21日は土用の丑の日で、毎年大量のうなぎが消費されます。厳しい夏を乗り切るための日本の食文化のひとつですが、うなぎのこと、海や川の自然のことを考える機会にしてみてはいかがでしょうか。

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自然保護室(海洋水産 グループ長)
前川 聡

修士(動物学・北海道大学)
渡り性水鳥の全国調査および国際保全プログラムのコーディネーター業務、WWFサンゴ礁保護研究センター(沖縄県石垣島)での住民参加型の環境調査および普及啓発業務、海洋保護区の設定および管理状況の評価業務等に従事後、2011年より東日本大震災復興支援プロジェクトと水産エコラベルの普及および取得支援に携わる。養殖業成長産業化推進協議会委員。

日本各地の漁師町を訪ねては、持続的な養殖や漁業の推進のために関係者の方々と話し合いをしています。道すがら、普段はなかなか見ることができない風景や鳥を見つけては、一人ほくそえんでいます。もちろん、新鮮な魚介とお酒も! 健康診断の数値が気になるAround Fifty

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