今年の土用丑の日は何を食べますか?


連日、うだるような暑さが続いています。
日本では昔から、夏の土用の期間は夏バテしやすいことから、「丑の日」に身体に良い「う」のつく食べ物(梅干し、うどん、瓜など)を食べる風習がありました。
この風習にうなぎが定着したのは、さかのぼること江戸時代。平賀源内が夏に売上げが少なかったうなぎ屋に「本日 土用丑の日」という看板を出すよう提案し、話題になったことがきっかけと言われています。

大変おいしいうなぎですが、近年価格が高騰し、手が届きにくい代物となっています。
その主な原因がうなぎの稚魚であるシラスウナギの不漁です。高い時でキロ400万円を超えると言われるシラスウナギは、その希少さゆえに「白いダイヤ」とも呼ばれています。

不漁の要因として、過剰漁獲(乱獲)のほかに、地球温暖化による海洋環境の変化などが指摘されていますが、うなぎをめぐるもっとも深刻な問題は、IUU(違法・無報告・無規制)漁業の存在です。

国内で捕獲されるシラスウナギの約4割は無報告で、中国などから輸入されるシラスウナギもIUU漁業の疑いが高いとされています。つまり国産のウナギの3匹に2匹はIUU漁業由来と考えられるのです。

今年の土用の丑の日は7月30日。
最近ではすり身や大豆などを原料とした、代替品も出回っており、味もうなぎに近いものになっています。
IUU漁業を防止する法令も強化されつつありますが、安心してうなぎを食べられるようになるのは、もう少し先になりそうです。それまでこうした代替品で暑い夏を乗り切ってみてはいかがでしょうか。

©WWFジャパン

うなぎの蒲焼をイメージした魚のすり身で作った練り製品

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自然保護室(海洋水産 グループ長)
前川 聡

修士(動物学・北海道大学)
渡り性水鳥の全国調査および国際保全プログラムのコーディネーター業務、WWFサンゴ礁保護研究センター(沖縄県石垣島)での住民参加型の環境調査および普及啓発業務、海洋保護区の設定および管理状況の評価業務等に従事後、2011年より東日本大震災復興支援プロジェクトと水産エコラベルの普及および取得支援に携わる。養殖業成長産業化推進協議会委員。

日本各地の漁師町を訪ねては、持続的な養殖や漁業の推進のために関係者の方々と話し合いをしています。道すがら、普段はなかなか見ることができない風景や鳥を見つけては、一人ほくそえんでいます。もちろん、新鮮な魚介とお酒も! 健康診断の数値が気になるAround Fifty

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