野生オランウータンに遭遇!しかし危機は目の前に
2019/12/03
森林グループの岩渕です。
先日、なんと野生のオランウータンに遭遇する幸運に恵まれました。
場所はインドネシア・スマトラ島中部のブキ・ティガプル地域。
天然林の様子を見に行った際、ふと脇に目をやると、わずか10mほど先の木にぶら下がっていました。
こちらに興味を持ったようで、その場から去ることなくいろいろな表情を見せてくれました。
実はこの地域のオランウータンは、かつて一度絶滅しており、現在生息しているのはすべて野生復帰を果たした個体です。
森林破壊によって母親と生き別れ、不法にペットとして飼育されていた個体を保護し、野生で生きる術を学ばせてから、野生復帰させてきました。
これまでに、約170頭がリリースされています。
数が非常に少ない野生のオランウータンとの遭遇は、滅多にあることではありません。インドネシア人ですら、見たことがある人は限られています。とても幸運な出会いでした。
しかしそのわずか500m先で、一気に現実に引き戻されてしまうのです。
そこに広がっていたのは、森が焼かれ、切り開かれてしまった光景でした。
この後、アブラヤシや天然ゴムの農園に転換されるのです。
このような農園で作られたパーム油や天然ゴムが、日本でも使われています。
私たちはWWFインドネシアの仲間たちと、これ以上森を切り開かずに、既存の農地で持続可能な農業を広める取り組みを続けています。
また今年、インドネシアやアマゾンでの大規模森林火災に対し、緊急支援を行ないましたが、このブキ・ティガプルでも、火の見やぐらの建設やパトロール強化などを進めています。
蘇ろうとしているオランウータン。
そのすみかの森を守る取り組みは、まだ道半ばです。