トラにも朗報!? タイのメーワン国立公園でバンテンが復活
2022/01/24
バンテンという動物をご存じでしょうか?
家畜の「牛」と同じウシ科ウシ属の野生動物で、インドネシアなどではバリ牛として家畜化もされています。
見た目もほぼ牛ですね。
しかし野生のバンテンは、IUCNのレッドリストではトラと同じ絶滅危惧種(EN)に選定されています。
バンテンはかつて、インドなどの南アジアから、インドネシアなどの東南アジアまで広く分布していました。
しかしインド、バングラデシュ、半島マレーシア、ブルネイではすでに絶滅。
タイでは1970年代には2500頭ほど生息していましたが、1990年代には約500頭にまで激減しました。
そんなバンテンについて、嬉しいニュースが入ってきました。
一度は姿を消してしまったタイ北部のメーワン国立公園で、バンテンが再び見られるようになり、繁殖していることが確認されたのです!
メーワン国立公園の地図
このことは、トラにとっても重要な意味を持ちます。
というのも、バンテンはトラの主要な獲物となる草食動物の一つだからです。
メーワン国立公園では、1987年に国立公園に指定されるまで、森林開発や野生生物の乱獲によって、バンテンをはじめ多くの草食動物が激減してしまいました。
実はこうした草食動物の少なさが、この国立公園でトラの数が増えない原因の一つと考えられているのです。
さらに国立公園指定後も、密猟は発生しており、トラや草食動物の脅威となり続けています。
そこでWWFは、レンジャーによるパトロール活動の支援や、地域住民への啓蒙など、さまざまな活動を続けてきました。
今回のニュースは、そんな努力の賜物と言えるかもしれません。
トラとバンテンがともに数を増やし、メーワン国立公園に豊かな森林生態系が回復するよう、今後も活動を続けてまいります。