チリ海洋保全の現場から:小型浮魚類の漁業改善
2024/12/12
日本の皆さんこんにちは、WWFチリのカミラです。
私は持続可能な漁業コーディネーターとして、漁業の改善に取り組んでいます。
チリは、広大な海岸線と豊かな生物多様性で知られていますが、特に南部の地域では、鯨類や海鳥を含めさまざまな海洋生物を見ることができます。
そうした海洋生物の暮らしを支えているのは、餌となるアンチョベータやニシンなどの小型浮魚(うきうお)類と呼ばれる小魚。
小型浮魚類の状況は、海洋生態系全体にも大きな影響を与えるため、私たちはこれらの小魚を重点種として、その漁業に着目しています。
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アンチョベータ(ペルーカタクチイワシ)の群れ。カタクチイワシ科の魚の一種で、南米のペルーからチリ沖にかけて分布する、体長10cm程度の小型の魚です。
小型浮魚類の漁業はチリで最も重要な漁業のひとつですが、漁獲された魚は主に魚粉に加工され、サーモン養殖の餌の原料などに使われています。
チリ政府はこの漁業の管理の強化に取り組んでいますが、漁業や気候変動による小型浮魚類の資源への影響などが心配されています。
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小型浮魚類を漁獲するための漁船
そのため私たちは、小型浮魚類の漁業をサステナブルなものに改善し、海洋生態系を保全するために、アンチョベータとベンティンクニシン(ニシン科の魚の一種)の漁業改善プロジェクトを開始。
プロジェクトを通して、これらの小魚の資源の持続可能な利用や漁業による生態系への影響を最小限にする活動に取り組んでいます。
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小型浮魚類を漁獲する漁船に集まる海鳥。こうした野生生物が誤って漁網にかかってしまう「混獲」の状況を調査し、対策を行なうことも重要な課題のひとつです。
日本は、アメリカに次ぐ第2位のチリ産サーモンの輸出先国で、養殖用の餌の原料として使われる小型浮魚類に関する問題とも深くつながっています。
サステナブルな小型浮魚類の漁業を実現するために、日本の皆さんのサポートがとても重要です。
皆さんと一緒に、チリの海洋生態系の未来を、より明るく、より健全なものにしていけると信じています。(編訳:海洋水産グループ 吉田)