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チリイルカの保全計画の承認に向けたプロセスが開始!


日本の皆さんこんにちは、WWFチリのジャケリーンです。

先日は、チリ南部パタゴニア地域の海洋生態系にとって、最も重要な種のひとつ固有種チリイルカについて、保全計画づくりに向けた取り組みをご紹介しました。

チリ海洋保全の現場から:チリイルカの保全 |WWFジャパン

今日は、その計画づくりの進捗に関して、皆さんに嬉しいお知らせがあります。

保全計画案が出来上がり、環境省から承認に向けた計画案のレビューのプロセスを開始するとの発表が正式に出されたのです!

チリイルカ(Cephalorhynchus eutropia)。別名ハラジロイルカともいいます。丸みを帯びた背びれが特徴で、体長は1.7メートル程です。WWFの取り組み開始以前は、ほとんど調査が行なわれておらず、その生態や個体数もはっきりとわかっていませんでした。
© Sonja Heinrich / WWF-Chile

チリイルカ(Cephalorhynchus eutropia)。別名ハラジロイルカともいいます。丸みを帯びた背びれが特徴で、体長は1.7メートル程です。WWFの取り組み開始以前は、ほとんど調査が行なわれておらず、その生態や個体数もはっきりとわかっていませんでした。

フィールド調査の結果をもとに、私たちがチリイルカの保全計画づくりに向けた取り組みを始めたのが、2022年。

環境省などの行政機関をはじめ、研究者、NGO、そして地域コミュニティを含めた、さまざまな関係者と協力して進めてきました。

チリイルカのフィールド調査。重要な生息域と考えられていたチリ南部のチロエ島とその周辺地域で、個体数を推定しました。また、生息環境についても調査し、チリイルカが海岸に近く比較的水深の浅い場所を特に好むことが分かり、人の海の利用による影響を受けやすいことが、あらためて示されました。
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チリイルカのフィールド調査。重要な生息域と考えられていたチリ南部のチロエ島とその周辺地域で、個体数を推定しました。また、生息環境についても調査し、チリイルカが海岸に近く比較的水深の浅い場所を特に好むことが分かり、人の海の利用による影響を受けやすいことが、あらためて示されました。

関係者とのワークショップを通じて出来上がった計画案には、チリイルカと生息域の保護の強化や、脅威の軽減に向けた活動など、保全に向けて効果的な取り組みが盛り込まれました。

幅広い関係者の協力が得られたことで、多様な意見や考えを反映した実効性のある計画案になり、チリイルカ以外の鯨類や、さらにはパタゴニア地域の海洋生態系の保全にもつながるものにすることができました。

チリイルカの保全計画について話し合うワークショップ。チリイルカにとって重要な生息域と考えられる地域での複数回のワークショップを通じて、参加者からは、沿岸漁業やサーモン(サケ)養殖業による影響のほか、廃棄物、観光業や海上交通による影響などが指摘されました。
© WWF-Chile

チリイルカの保全計画について話し合うワークショップ。チリイルカにとって重要な生息域と考えられる地域での複数回のワークショップを通じて、参加者からは、沿岸漁業やサーモン(サケ)養殖業による影響のほか、廃棄物、観光業や海上交通による影響などが指摘されました。

フィールド調査を行ない保全計画づくりにつなげ、このたび計画案が出来上がり、環境省による承認に向けたプロセスの開始にまで至ることができたのは、ひとえに私たちの活動をご支援くださってきた日本の皆さんのおかげです。

長年の継続したご支援に、心より感謝申し上げます。

チリイルカの保全計画が2025年末までに正式に承認され、承認後に適切に計画が実施されるよう、引き続き関係者と密に協力しながら取り組みを進めていきます!(編訳:海洋水産グループ 吉田)

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ジャケリーン・モンテシーノス

WWFチリ・シースケープグループ所属。海洋の生物多様性と政策のコーディネーターとして、チリイルカを守る活動を含めた、海の野生生物の保全に取り組む。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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