チリ海洋保全の現場から:チリイルカの保全
2024/11/20
日本の皆さんこんにちは、WWFチリのジャケリーン・モンテシーノスです。
私は海洋の生物多様性と政策のコーディネーターとして、海の野生生物の保全に取り組んでいます。
チリの海、特に南部のパタゴニア地域は、生物多様性がとても豊かな場所です。
海鳥や海棲哺乳類をはじめ、ケルプ(海藻)藻場や冷水性サンゴなども見られ、生物多様性のホットスポットとなっています。
こうした野生生物の中でも、チリイルカは、私たちの国にしか生息していない小型の鯨類で、パタゴニア地域の海洋生態系にとって最も重要な種のひとつです。
これまでに日本の皆さんからのご支援により、チリイルカのフィールドでの調査を通じて、重要生息域のひとつであるチロエ島周辺で、推定個体数とチリイルカにとっての潜在的な脅威を特定することができました。
フィールドでの調査の結果などをもとに、私たちはいま、チリイルカの保全計画の策定に向けて取り組みを進め、政府機関、研究者、地域コミュニティ、漁業者、サーモン養殖企業など、さまざまなステークホルダーと対話や議論を重ねています。
ステークホルダーによって関心が異なるため難しさや苦労もありますが、多様な意見を反映した保全計画の草案が完成間近となっていて、とても嬉しく思っています。
私は、この保全計画もとにしたステークホルダー協働の取り組みが、パタゴニア地域の象徴的な種であるチリイルカの効果的な保全につながることを信じています。
日本の皆さんの応援に感謝を申し上げるとともに、取り組みが前に進むようさらに尽力していきたいと思いますので、ぜひご支援をいただけますようお願いいたします。(編訳:海洋水産グループ 吉田)