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COP28現地発信:日本の非国家アクターがカーボンプライシング政策の改善を提言


アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催されている国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)では、各国政府による交渉の外で、政府やNGOなどが主催するたくさんのイベントが行われています。

12月5日、非国家アクターと呼ばれる、企業や自治体、大学や研究機関、若者団体やNPO/NGOなど多様な主体が集まる日本のネットワーク「気候変動イニシアティブ(JCI)」が、日本政府のパビリオンでイベントを開催しました。

イベントの冒頭では、JCI共同代表の加藤氏から、同日、JCIは政府に対し、政府がGX推進に基づき進めるカーボンプライシング政策の改善に向けた具体的な提言書を公表したと発表。この提言書には、JCIに参加する186のメンバー団体が名を連ねています。

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イベントでは国内外から集まったJCIメンバーを含む6名が登壇するパネルセッションを実施。企業、金融機関、自治体、また、世界の非国家アクターの取り組みを推進する国連ハイレベルチャンピオンズチームから多様な登壇者が揃いました。

登壇者たちは、2050年ネットゼロに向けて、2030年に世界のCO2排出量を半減、そして2035年には65%を削減するために、非国家アクターがこれからどう取り組み、政府にはどのような政策が期待されるのかを議論。

登壇したJCIメンバーからは、自らの取り組みを進めるためには、政府が1.5℃目標の実現に整合する明確な道筋を示すことが不可欠であり、それぞれの業界、主体の取り組みを後押しする具体的な政策を求める声があがりました。

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COP会場内では、こうした各国非国家アクターの取り組みや政府に向けた提言の発信がいたるところで行われています。

脱炭素の実現には、企業や自治体など、消費者や市民の生活に密接にかかわる非国家アクターの取り組みの加速が欠かせません。

また、その非国家アクターの取り組みを加速するためには、政府が高い目標をもち、非国家アクターの取り組みを真に推進する具体的な政策を積極的に打ち出していくことが求められます。

COP28も中盤を迎えようとしていますが、交渉の外で行われるこうした非国家アクターの活動の積み重ねが、残る会期中に行われる政府の交渉を実りあるものへと推し進めてくれることが期待されます。

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自然保護室(気候・エネルギー)
田中 健

修士(理学・九州大学)
福岡県庁、経済産業省で廃棄物管理やリサイクルなどの環境保全行政に従事、日本のリサイクル企業の海外ビジネス展開を支援。その後、日本科学未来館にて科学コミュニケーターとして、国内外の科学館、企業、研究機関などと連携し、科学技術や研究者と一般市民をつなぐ様々なプロジェクトを担当。2018年8月から現職。気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative: JCI)等、企業や自治体など非国家アクターの気候変動対策の強化に取り組む。

子どもの頃から、自然や生き物の「なぜ?」を探るのが好きでした。自治体や国で環境保全に10年取り組むも、「もっとたくさんの人に環境問題を伝えたい!」と思い、一念発起。科学館スタッフとして環境・社会・教育など様々な分野のプロジェクトを通じて科学コミュニケーションの経験を積み、WWFへ。これまでの経験をまとめて生かし、地球温暖化という大きな課題にチャレンジ精神で取り組みます。

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