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G7の一員として、日本が化石賞を受賞しました


 11月15日、アゼルバイジャンの首都、バクーで開催されている国連の気候変動会議、COP29で、日本はG7(主要7か国)の一員として、アメリカ、イギリス、カナダ、ドイツ、フランス、イタリアとともに化石賞を受賞しました。


 化石賞は、気候変動に取り組む130か国の1,800を超える世界最大のNGOのネットワーク、CANインターナショナルが、その日の交渉を後退させる言動を行なった国に与える不名誉な賞。毎夕に行われる授賞式には、多くの参加者が詰めかけ、国際メディアを通して世界中に発信されるCOPに欠かせないイベントです。

 G7が受賞した理由は、この会議の最大の焦点である「新しい気候資金の目標」(NCQG)の交渉を加速させる努力をしていないことでした。

日本を含むG7は、COP29の最大の論点である新しい気候資金目標の交渉を停滞させているとして、COP29で初めての化石賞の受賞国になった
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日本を含むG7は、COP29の最大の論点である新しい気候資金目標の交渉を停滞させているとして、COP29で初めての化石賞の受賞国になった

 先進国が途上国の気候変動対策のために行う資金供与の議論は、2009年に開催されたCOP15で、先進国は途上国に、公的な支援と民間投資を合わせて年間1,000億円の資金を供与および投資すると約束したことにさかのぼります。しかし、気候資金の拠出はなかなか増えず、先進国がみずから決めた誓約を達成したのは2022年のことでした。

 2015年に採択されたパリ協定には、2024年までに1,000億ドルを上回る2025年以降の新しい資金目標を決めることが盛り込まれました。長年にわたる課題に決着をつける会議、それがCOP29なのです。COP29が「資金COP」と呼ばれる理由はここにあります。

 しかし、リーダーシップを取るべきG7諸国は、「気候資金の目標金額を提示することなく会議に臨んだうえ、交渉を停滞させている」と評価されました。化石賞は、そんなG7諸国への期待を込めて、合意に向けたリーダーシップを発揮するよう求めたものといえます。

 先進国が気候資金の拠出を通して途上国での気候変動対策を進めることは、先進国を含む世界全体を危険な気候変動から守ることにつながります。グテーレス事務総長が開会式で述べたように、気候資金の拠出は慈善ではなく投資であり、その投資は自国民を守るためにも必要なのです。

毎夕に開催される化石賞の授賞式は、COPに欠かせないイベントとして定着しており、各国の交渉官を含めて多くの参加者が詰めかける
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毎夕に開催される化石賞の授賞式は、COPに欠かせないイベントとして定着しており、各国の交渉官を含めて多くの参加者が詰めかける

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自然保護室(気候・エネルギー)
田中 健

修士(理学・九州大学)
福岡県庁、経済産業省で廃棄物管理やリサイクルなどの環境保全行政に従事、日本のリサイクル企業の海外ビジネス展開を支援。その後、日本科学未来館にて科学コミュニケーターとして、国内外の科学館、企業、研究機関などと連携し、科学技術や研究者と一般市民をつなぐ様々なプロジェクトを担当。2018年8月から現職。気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative: JCI)等、企業や自治体など非国家アクターの気候変動対策の強化に取り組む。

子どもの頃から、自然や生き物の「なぜ?」を探るのが好きでした。自治体や国で環境保全に10年取り組むも、「もっとたくさんの人に環境問題を伝えたい!」と思い、一念発起。科学館スタッフとして環境・社会・教育など様々な分野のプロジェクトを通じて科学コミュニケーションの経験を積み、WWFへ。これまでの経験をまとめて生かし、地球温暖化という大きな課題にチャレンジ精神で取り組みます。

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