信頼できるネットゼロの取り組みに向け、2つの報告書が発表
2024/11/18
世界が1.5℃目標の実現を目指す中、近年、企業や投資家、自治体など政府以外の主体「非国家アクター」によるネットゼロ宣言が急増しています。一方、これらをグリーンウォッシュ(見せかけの環境対策)ではなく、1.5℃目標に資する質の高い目標や対策にすることが課題となっています。
11月14日、この課題に取り組む国連をはじめとする専門家や国際機関らがまとめた二つの報告書が発表されました。
1つは、COP27で発表された非国家アクターのネットゼロ宣言のあり方、すなわち非国家アクターがすべきこと、してはいけないことを10の提言にまとめた報告書に関し、その進捗を報告するものです。これによると、急増するネットゼロ宣言の内容を見ると提言書に合致するのはわずかであり、特に化石燃料からの段階的廃止に関する取り組みは著しく不足していると指摘されました。
もう1つは、G20諸国における1000以上の政策を調査し、これらが提言書に合致するかを評価したものです。これによると、G20すべての国でネットゼロを進めるなんらかの政策が広がっているという明るい兆しが見えています。しかし、提言内容と現状の規制を照らし合わせると大きなギャップがあることもわかりました。
提言書と進捗報告書の作成を主導したカナダの元環境・気候変動担当大臣のキャサリン•マッケナ氏は、非国家アクターが質の高い取り組みを進めることは可能であると希望を述べています。さらに、投資家が安心して脱炭素への投資を進めるためには、信頼性あるネットゼロの取り組み強化が必要であり、政府に対しそれを助ける規制の加速を呼びかけました。
これらの報告書が、各国のネットゼロ規制と質の高い取り組みへの移行を推進することを期待し、これからも動きを追っていきます。