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信頼できるネットゼロの取り組みに向け、2つの報告書が発表


世界が1.5℃目標の実現を目指す中、近年、企業や投資家、自治体など政府以外の主体「非国家アクター」によるネットゼロ宣言が急増しています。一方、これらをグリーンウォッシュ(見せかけの環境対策)ではなく、1.5℃目標に資する質の高い目標や対策にすることが課題となっています。

11月14日、この課題に取り組む国連をはじめとする専門家や国際機関らがまとめた二つの報告書が発表されました。

報告書発表イベントで、参加者に報告書を読んだかを尋ねる国連ハイレベル専門家グループ議長のキャサリン・マッケーナ氏(左)、ネットゼロ政策タスクフォース共同議長のヘレナ・ヴィンズ・フィエスタス氏(中)、同共同議長のアンドレア・メサ氏(右)。
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報告書発表イベントで、参加者に報告書を読んだかを尋ねる国連ハイレベル専門家グループ議長のキャサリン・マッケーナ氏(左)、ネットゼロ政策タスクフォース共同議長のヘレナ・ヴィンズ・フィエスタス氏(中)、同共同議長のアンドレア・メサ氏(右)。

もう1つは、G20諸国における1000以上の政策を調査し、これらが提言書に合致するかを評価したものです。これによると、G20すべての国でネットゼロを進めるなんらかの政策が広がっているという明るい兆しが見えています。しかし、提言内容と現状の規制を照らし合わせると大きなギャップがあることもわかりました。

提言書と進捗報告書の作成を主導したカナダの元環境・気候変動担当大臣のキャサリン•マッケナ氏は、非国家アクターが質の高い取り組みを進めることは可能であると希望を述べています。さらに、投資家が安心して脱炭素への投資を進めるためには、信頼性あるネットゼロの取り組み強化が必要であり、政府に対しそれを助ける規制の加速を呼びかけました。

これらの報告書が、各国のネットゼロ規制と質の高い取り組みへの移行を推進することを期待し、これからも動きを追っていきます。

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自然保護室(気候・エネルギー)
田中 健

修士(理学・九州大学)
福岡県庁、経済産業省で廃棄物管理やリサイクルなどの環境保全行政に従事、日本のリサイクル企業の海外ビジネス展開を支援。その後、日本科学未来館にて科学コミュニケーターとして、国内外の科学館、企業、研究機関などと連携し、科学技術や研究者と一般市民をつなぐ様々なプロジェクトを担当。2018年8月から現職。気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative: JCI)等、企業や自治体など非国家アクターの気候変動対策の強化に取り組む。

子どもの頃から、自然や生き物の「なぜ?」を探るのが好きでした。自治体や国で環境保全に10年取り組むも、「もっとたくさんの人に環境問題を伝えたい!」と思い、一念発起。科学館スタッフとして環境・社会・教育など様々な分野のプロジェクトを通じて科学コミュニケーションの経験を積み、WWFへ。これまでの経験をまとめて生かし、地球温暖化という大きな課題にチャレンジ精神で取り組みます。

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環境保全団体です。

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