アメリカの非国家アクターが発信
2024/11/15
11月14日、アメリカの非国家アクターのネットワーク、「AMERICA IS ALL IN」が、3日間にわたって開催するイベントが始まりました。
11州、356自治体、企業2948社を含む5,000を超える非国家アクターが参加するこのネットワークには、人口で全米の63%、GDPでは74%を占めています。
設立のきっかけは、2017年、当時のトランプ大統領がパリ協定からの離脱を宣言したことにさかのぼります。離脱宣言からわずか3日後に、気候変動の解決をめざす州政府、自治体、企業、大学などが立ち上がり、「連邦政府がパリ協定を離脱しても、私たちはパリ協定にとどまる」という意思を込めて、「We Are Still In」に結集。パリ協定がめざす1.5度目標の達成に向けて、努力を重ねてきました。
こうしたアメリカの非国家アクターの行動は、他の国の非国家アクターにも大きな影響を与え、多くの国に同様のネットワークが設立されるきっかけを生みました。
その後、2021年にアメリカがパリ協定に復帰すると、「We Are Still In」は「AMERICA IS ALL IN」 に名称を改め、活動を強化してきました。当初1,200だった参加団体は5,000以上に拡大し、世界最大の非国家アクターのネットワークに成長しています。
初日は、午前中の開会式の後、4つのパネルを行い、州政府、市町村、企業などのさまざまな分野の非国家アクターがそれぞれの取り組みを紹介。どのパネルも立ち見が出るほど参加者が詰めかけ、会場は熱気に包まれていました。
どのパネリストも、1.5度目標の解決をめざす強い意思と具体的な取り組みを熱く語ります。
州知事を代表して登壇したワシントン州のインスリー知事は、「気候変動の解決をめざす州知事は気候同盟をつくった。3知事で始めた気候同盟には現在、24州の知事が参加している。私たちの結束はより強くなるだろう。私たちは立ち止まりもしないし、後退もしない」と強調しました。 また、食品会社のマースの役員は、産業界の立ち位置を紹介しました。日本を含む世界80か国で事業を展開する同社の排出量はフィンランド一国に匹敵するため、世界の気候に与える影響は少なくありません。登壇した同社の環境部門の取締役は、脱炭素化に取り組む意義を次のように語りました。
「ネットゼロを達成する数十年の間には、何度も大統領が変わるだろう。たとえそのたびに政策が変わるとしても、私たちが方針を変えることはない。私たちはただ自らが決めたネットゼロ目標に向かって、確実に歩みを進めるだけだ」
アメリカの非国家アクターたちは、残る2日間にもこうした熱い思いを発信し続けます。