©ミスターサカナ クマちゃん

ハゼ・ハゼ・ハゼに絶滅危惧魚も(西表島 浦内川調査)


日本国内で「高い保全価値」(High Conservation Value:HCV)を有するフィールドとして、WWFジャパンが新たに保全プロジェクトを開始した沖縄県の西表島・浦内川流域。

その河口で始まった橋架け替え工事の影響を調べるため、6月15日、水中の様子と未だ全容が明らかになっていない魚類群集の調査を実施。
6名の地元ダイバーの皆さんにより、河口域3か所のポイントで水中撮影が行われました。

マングローブは魚の楽園(タカサゴイシモチ属)
©遊びなーら 平野

マングローブは魚の楽園(タカサゴイシモチ属)

撮影された画像は私たちプロジェクトメンバーや研究者に早速共有され、6月29日夜、日本魚類学会自然保護委員の鈴木寿之先生を講師にお招きして、種同定・勉強会がオンラインで開催されました。

調査は1日だけでしたが、22種のハゼ類を含む合計47種の魚たちの姿を確認。
鈴木先生が次から次に同定していくハゼ達の写真を見ながら、色とりどりで姿形も様々なハゼ等魚類の多様性に圧倒されました。

さらに撮影された魚類の中には、捕獲圧を防ぐため種名は伏せますが、ハゼ以外の絶滅危惧種の姿も見られました。

鈴木先生からは、水中の岩場や底質への土砂の堆積はハゼ等の生息に影響が大きく、こうした水中の様子を継続して確認していくことが重要であるとのご指摘がありました。

今年から10年以上にわたって続く予定の橋の架け替え工事が、浦内川の魚類を始めとする野生生物に深刻な影響を与えない形で行われるように、これからも地元の皆さんと協力して確認していきたいと思います。
今後の調査でどんなハゼや魚たちに出会えるかも楽しみです。
続報乞うご期待。
(野生生物グループ 小田倫子)

サザナミハゼ
©西表島エコツーリズム協会

サザナミハゼ

インコハゼ
©ミスターサカナ クマちゃん

インコハゼ

ホホベニサラサハゼ
©ミスターサカナ クマちゃん

ホホベニサラサハゼ

ホシハゼ
©ミスターサカナ クマちゃん

ホシハゼ

クロコハゼ
©TAKEダイビングスクール 竹内

クロコハゼ

クツワハゼ
©GOOD DIVE 井腰

クツワハゼ

タカノハハゼ
©ミスターサカナ フミヤ

タカノハハゼ

コモンヤツシハゼ
©西表島エコツーリズム協会

コモンヤツシハゼ

クロコハゼ
©ミスターサカナ 笠井雅夫

クロコハゼ

カワギンポ
©遊びなーら 平野

カワギンポ

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自然保護室(野生生物)
小田 倫子

弁護士として10年間稼働後、家族の転勤に伴い沖縄県名護市に居住したことを契機に、自然保護の仕事を志し大学で保全生態学を専攻、2013年WWF入局。法人パートナーシップ担当として生物多様性保全・気候危機対策に関する企業との協働プロジェクトの提案・実施業務を担当後、野生生物グループに異動、今は国内希少種を保全するフィールドプロジェクトを担当。
学士(法学・農学 東京大学)
法学修士(カリフォルニア大学バークレー校)

国内希少種の宝庫である南西諸島で主に活動しています。フィールドで生き物に出会い、その美しさ・不思議さを仲間と分かち合える瞬間が至福の時。趣味は里山散策と水生生物の観察。

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