2021年 WWFジャパンより新年のご挨拶
2021/01/01
あけましておめでとうございます。
WWFジャパンより、新年のご挨拶を申し上げます。
昨年2020年の1年間、皆さまには私たちWWFジャパンの活動にご支援、ご賛同、ご参加をくださり、誠にありがとうございました。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の広がりを受け、さまざまな制約や困難が生じる中、変わらぬご信頼とご支援をいただきましたこと、心よりお礼を申し上げます。
2020年の世界を席巻したコロナ禍は、私たちが取り組む環境保全の活動にも、大きな影響を及ぼしました。
感染症のパンデミックは、自然を大幅に壊し、人と自然の関係を大きく崩した結果として生じるものです。
人間が森林を大規模な農園に変え、多くの人がその奥地に入り込んだりすることにより、未知の病原体を保有する野生動物と人間の接点が増え続けています。
さらには、多数の野生動物が捕獲、密猟され、衛生管理が全く不足したまま、世界各地で市場に持ち出されて売り買いされています。
こうした人や動物の大規模な移動や輸送が、感染症を世界中に広げてしまう。
それが、今世界で起きている問題です。
そしてこれをきっかけに、これまで環境問題と思われていたことが、社会や経済、保健など、人の暮らしに直接かかわる「身近」な脅威として、強く認識され始めています。
しかし、この世界の自然環境を守る取り組みは依然、厳しい状況に置かれています。
本来は2020年までに達成する予定であった、世界の生物多様性保全の約束「愛知目標」は、20の項目のうち、完全に達成されたものは一つもありませんでした。
WWFが発表した最新版の「生きている地球レポート」でも、生物多様性の豊かさは、1970年と比べて68%も失われたことが指摘されています。
また、SDGs(持続可能な開発目標)についても、44個あるゴールのうちの80%の達成に、生物多様性の保全が欠かせないとされており、このままでは2030年までのSDGsのゴール達成も困難になるおそれがあります。
そうした中で迎える2021年は、新たな「挑戦」の1年となります。
特に、コロナ禍からの復興という大きな動きの中では、自然環境の保全と持続可能性の向上、そして脱炭素社会の実現に向けた政策、すなわち「グリーン・リカバリー」が実現できるかが、大きな試みとして、世界的な注目を集めています。
また、人の健康と、家畜や野生生物の健康、そして生態系(自然)の健康を、一つのつながったものと捉え、共に守っていく、医療と環境などの分野の壁を超えた「ワンヘルス」の取り組みも、これからの重要なカギといえるでしょう。
そしてこれらの「挑戦」は、今後の国際社会や各国の政策の在り方、ビジネスや金融、教育といった分野にも影響を及ぼし、大きな変化をもたらすものとなるに違いありません。
2021年で設立50周年を迎えるWWFジャパンにとっても、「グリーン・リカバリー」や「ワンヘルス」は、非常に重要な活動のテーマです。
設立以来、半世紀にわたるサポーターの皆さまからのあたたかいご支援のもと、成し遂げることのできた、さまざまな保全活動を確かな土台としながら、新しい「挑戦」への道を切り拓いてゆく、そんな一年を目指すべく、今年もスタッフ一同、全力で活動に邁進していきたいと思います。
そして、そのための取り組みに、皆さまにもぜひご参加、ご賛同をいただきますよう、お願い申し上げます。私たちもそうした皆さまの想いを一つにし、大きな力としていけるような、機会の創出や、呼びかけに、より力を入れていく所存です。
皆さまの長年にわたるご支援に、心より感謝を申し上げますと共に、コロナ禍に負けず、野生生物と共存し、自然を守り、気候変動の脅威のない未来を目指す、この最初の1年を、私たちWWFと共に歩んでいただければ幸いです。
この1年が皆さまにとって、幸多き1年となりますよう祈念いたします。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。