野生生物取引と人獣共通感染症に関するWWFジャパンの見解 まとめ


近年、世界各地で大きな問題となっている人獣共通感染症について、これまでWWFジャパンが公表してきた指摘と要望を下記にまとめる。

とりわけ、いずれの場合にも共通した、WWFジャパンとしての基本的な問題提起のポイントと、必要とされる取り組みの概要は次のとおりである。

問題提起のポイント

  1. 絶滅のおそれのある野生動物の取引が、人間の健康と社会に大きな影響を与える感染症の感染源となるリスクがあること
  2. 野生動物を愛玩動物として飼育することがもたらす可能性のある、人獣共通の感染症や動物由来の感染症への対策が、現在の日本では、制度的に確立されていないこと

必要とされる取り組みの概要

  1. 野生動物をペットとすることによって人に感染する可能性のある感染症への対応を法制化すること
  2. 特に、野生動物の飼育、取扱いを、感染症予防の観点からも、厳しい管理下に置くべきこと

過去の公式文書の中で行なってきた指摘・要望(2013年1月~2020年2月)

2013年1月18日(意見書)

(指摘)

  • 動物取扱業者の登録制度を構築せず営利目的の取引行為を放置することは、動物由来感染症の防止等の国内体制整備の趣旨に反することを指摘
  • 野生生物の違法取引が、自然資源を破壊し、国家の安全保障を脅かし、持続可能な社会の構築を阻害し、さらには感染症により人々の公衆衛生を脅かすことを指摘

(要望)

  • 感染症法に基づいた国内での人獣共通感染症予防の観点から、検疫や輸入届出制度・感染症対策に携わる担当者・研究者のヒアリングを実施するよう要望
  • 野生動物を所持する行為に厳しい適正さを求め、違反時の罰則を設けるべきことを要望

2019年2月21日(要望書)

(指摘)

  • 日本ではペットの対策という側面から見た感染症リスクが、野放し状態にあることを指摘
  • ノネコやヤギ、ブタなどの家畜経由で人や希少種への感染可能性があることについて注意喚起

(要望)

  • 感染症予防の徹底という側面から野生動物の取扱業者を「許可制」にする事を要望
  • ワンヘルス・アプローチの観点を踏まえ、環境省と厚生労働省は共管で取り組むべき事を要望

2020年2月7日(声明)

保全活動の中での記述・発信

2009年9月14日

(指摘)

  • 感染症と外来種問題の関係性について、SARSや西ナイル・ウイルス、エボラ熱といった感染症が世界的な話題となってきたこと、外来種問題においてもその対策が重要視されはじめたことを指摘
  • 一方、感染症を媒介するおそれのある動物は、依然膨大な数が取引されている現状を指摘

2017年2月25日

(指摘)

  • 外来生物が病原菌やウィルス等を体内に保有し、人獣共通感染症を媒介する危険性があることを指摘
  • 外来種問題が、生態系保全のためだけではなく、人間の生活を守る上でも重要な問題であることを指摘

2017年2月25日

(指摘)

  • 外来生物が病原菌やウィルス等を体内に保有し、人獣共通感染症を媒介する危険性があることを指摘
  • 外来種問題が、生態系保全のためだけではなく、人間の生活を守る上でも重要な問題であることを指摘

2018年10月19日

(指摘)

  • ペットとして人気の高いコツメカワウソが、日本国内で一時的にでも放された場合、感染症を伝播するリスクがあることを指摘

2019年3月14日

(指摘)

  • ペット由来の外来生物が及ぼす問題の一つとして、動物由来の感染症の脅威を指摘

2019年5月29日

(指摘)

  • ペットとして人気の高いコツメカワウソが、日本国内で一時的にでも放された場合、感染症を伝播するリスクがあることを改めて指摘

2019年7月16日

(指摘)

  • 改正動愛法に残された問題点として、動物由来の感染症が健康に及ぼす影響について、継続して検討する状態が整っていないことを指摘

2019年12月24日

(指摘)

  • 特に生きた野生生物の違法取引の横行により、空港などの現場で働く職員に、感染症や怪我といったリスクが及ぶ可能性を指摘

この記事をシェアする

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP