シリーズ:自治体担当者に聞く!脱炭素施策事例集 産官学民がつながり自然エネルギー普及のためのモデル構築を目指す


© Shutterstock / Soonthorn Wongsaita / WWF

長野県「自然エネルギー信州ネット」

【施策部門】 産業部門業務その他部門
【施策タイプ】 その他
WWFの「ここに注目」
 
  • 産官学民が連携して自然エネルギー普及のためのビジネスモデルを構築・事業化するプラットフォーム
  • 市民、企業、専門家などの声を幅広く吸い上げることができる
  • 行政の施策について専門家からアドバイスを受けられる

施策概要

「自然エネルギー信州ネット(以下、信州ネット)」は、自然エネルギー普及モデルをつくることを目的に、市民個人、市民団体、地域企業、大学、市町村・行政機関などを会員とする産官学民連携のプラットフォーム。信州ネットは、各地域で自然エネルギー普及に取り組む「地域協議会」と連携し、自然エネルギーの導入、事業化に関心のある県内の個人、企業、自治体などに、必要な情報提供、専門的な技術支援、事業の運営支援などを行なっている。
長野県は立ち上げ当初から信州ネットに参画するとともに、基礎調査など自然エネルギー普及モデルの構築のための中間支援事業を信州ネットに委託している。
また、長野県では県有施設の屋根を地域の太陽光発電事業者に貸し出す「おひさまBUN・SUNメガソーラープロジェクト」を実施している。その最初の案件に信州ネットが参画し、事業のスキームを作成。その後、さらに6件の事業化につなげている。

予算

中間支援事業の委託費として年間で約100万円

削減効果

おひさまBUN・SUNメガソーラープロジェクト 7件 計約2,500kWの太陽光発電設備を導入

その他効果

自然エネルギーに関心のある個人、事業者が、信州ネットの中間支援を受け自然エネルギーを事業化することで生まれる経済効果に期待している。例えば、電気代の削減、ゼロカーボンへの取り組みによる企業価値のアップ、地域の発電事業者の事業創出など。また、事業化がうまくいけば、それをモデルケースとして新たな事業につなげていくことも期待できる。

施策を通して

<課題や改善点>
県が信州ネットに委託している中間支援事業の中に、太陽光発電についての疑問や相談に応じる「長野県太陽光ヘルプデスク」の運営がある。予算も人員も限られているため、電話での問い合わせに答えられる専任者を置くことができないことが課題。その対応策として、現時点では信州ネットウェブサイト内に設置した問い合わせフォームでの受け付けで対応している。さらに、よくある質問を整理し、Q&Aとしてウェブサイトで公開している。

<施策のメリットとデメリット>
メリット:
・信州ネットの会員、理事には、大学の教授や研究者、エネルギー、環境問題に取り組んでいる市民団体、個人、企業などさまざまな属性の人がいるため、県が自然エネルギーに関する施策を考えるときに、意見やアドバイスを幅広く集めやすい。

デメリット:
・デメリットはないが、設立から10年が経ち、幅広い意見を吸い上げていくためには、より多くの人に関わってもらい、活性化していく必要があると考えている。

こんな自治体にオススメです

地域でゼロカーボンを進めるうえで、地域の声を聞くことは非常に重要。そのための組織として、幅広い属性の市民が参画するプラットフォームはすべての自治体において有効だと考える。

今後の方針

改正温暖化対策法の施行により、再エネの促進区域設定など市町村の課題は多くなっている。市町村においては技術的リソースが限られているため、専門的な立場からの中間支援が重要だと考えている。引き続き、自然エネルギー信州ネットと連携を行い、地域での自然エネルギーの活動を支援していく体制を構築していきたい。

自然エネルギー信州ネット

おひさまBUN・SUNメガソーラープロジェクト

自治体担当者からのコメント

ゼロカーボン推進室
杉本陽太さん

ゼロカーボンの機運が高まっていますが、何から始めたらよいのかわからないという問い合わせもよくあります。しかし、行政職員も専門家ではなく、数年ごとに異動もあります。そこをカバーしてくれるのが、専門家や研究者も参画する信州ネットです。そこに事業を委託することで、県も自然エネルギーの普及に貢献できると考えています。

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