© WWF-US / Keith Arnold

温暖化対策に関する国の議論が本格始動!


日本の温暖化対策の行く末を大きく左右する議論が、次々と始まりつつあります。

2024年5月15日には、今後のエネルギー政策を方向づける「エネルギー基本計画」の改定に向けて、政府が議論を開始しました。

日本の温室効果ガス排出量の約85%は、電力や燃料などエネルギー利用で生じる二酸化炭素。エネルギー利用のあり方は、日本での温室効果ガス排出削減に重要です。

パリ協定の掲げる1.5度目標の実現には、それを気候変動に関する国連会議「COP28」(2023年開催)での国際合意に整合させる必要があります。
2030年に向けて、再エネ3倍、省エネ2倍の水準にしつつ、化石燃料からの転換を加速させること。これらを次の「エネルギー基本計画」に盛り込むことが求められます。

© Andrew Kerr / WWF

日本では石炭火力発電を2030年までに段階的に廃止することが求められます。

加えて、日本の2030年・2035年の温室効果ガス排出削減目標の議論や、温室効果ガス排出に金銭負担を課す「カーボンプライシング(CP)」の制度設計も近く始まります。

© Sascha Fonseca / WWF-UK

生態系や社会への影響を最小化するには、今世紀末までの平均気温の上昇を1.5度に抑える必要があります。そのために世界全体の温室効果ガス排出量を、2019年比で2030年までに43%、2035年までに60%減らさなければならず、先進国である日本はそれらを上回るべきです。

CPの中心テーマは、対象企業に排出枠の購入を求める「排出量取引制度(ETS)」。
対象企業にETSへの参加義務づけとされたのは前進です。他方、排出削減の効果を減じる抜け道や不備が伴わないか、議論を注視する必要があります。

© Shutterstock / Wrangler / WWF

CPは排出削減に必要な投資を行なう企業に経済的なメリットを与え、その取り組みを強く促すことができます。日本経済の国際競争力を強化するためにも必須の政策です。

これら議論は、日本に住まう人々全員の将来に関わります。今回ご紹介した点も参考に、その動向にぜひアンテナを張ってみてください。
またWWFジャパンではシステム技術研究所の槌屋治紀先生に研究委託し、1.5度目標の達成が可能な日本でのエネルギーの使い方を示す、エネルギーシナリオの提言を作成中です。近日発表予定ですので、ご期待ください!

(気候・エネルギーグループ 吉川)

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自然保護室(気候・エネルギー)
吉川 景喬

公共政策修士(専門職)(京都大学) 大学院では環境政策、公共ガバナンスを中心として公共政策学を専攻。修了後は、大手物流企業でコーポレートガバナンスに関する業務に従事。2021年にWWFジャパンに入局。気候変動・エネルギーに関する国内政策アドボカシーを担当。

学生時代には季節のおいしいものを食べ歩き、度々近所の川べりを散歩していました。皆さん一人ひとりに身近な自然があるかと思います。それを根底から揺るがす気候変動。その対処に向けて社会の全てのアクターの方々と一緒に取り組んでいきます!

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