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東京都下水道局の脱炭素の取組み(前編)


地球温暖化防止の手立てとして、活用が進む再生可能エネルギー。その中で、すっかりお馴染みになった太陽電池ですが、更なる進化に向けて研究開発が進められています。特に注目が集まるのが「ペロブスカイト型太陽電池」です。

最大の特長は、薄く、軽く、曲げられること。今までは難しかった場所にも設置でき、大きな期待が寄せられています。

このペロブスカイト型太陽電池の実証実験が行われていると伺い、東京都下水道局の森ヶ崎水再生センターにお邪魔してきました!

太陽光パネルの並ぶ前で集合写真を撮らせていただきました。
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太陽光パネルの並ぶ前で集合写真を撮らせていただきました。

ご案内くださった先では、一面の従来型太陽光パネルがお出迎え。反応槽という処理施設の蓋を特注して、その上に2016年から4,480枚が設置されています。国内最大の下水処理場ならではの眺めは圧巻でした。

反応槽の蓋には従来型の太陽光パネルが所狭しと並んでいます。
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反応槽の蓋には従来型の太陽光パネルが所狭しと並んでいます。

そしてその一角にあるのが、お目当てのペロブスカイト型太陽電池です!

反応槽の一角に設けられたペロブスカイト型太陽電池。曇りでもしっかり発電しています。
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反応槽の一角に設けられたペロブスカイト型太陽電池。曇りでもしっかり発電しています。

サイズの異なる3種類、合計9枚が設置されています。「設置」と言っても、実は基礎となるシートに結束バンドで固定しているとのこと。施工の際もまるでゴザを敷くようだったそうで、手軽さが十二分に発揮されていました。

実験では発電効率の測定のほか、屋外での耐久性も検証。紫外線や潮風、下水から生じた硫化水素などにさらされる、ペロブスカイト型太陽電池にとって過酷な環境での検証が行なわれていました。実用化には一つ一つ丁寧な検討が必要なことを改めて実感しました。

更に実用化した暁には、軽さと柔軟さを活かして、反応槽の既存の蓋に貼っていけるそうです。これら実証実験と今後の具体的な活用方法に、未来の社会を垣間見た気がしました。

近くで見ると波打っているのがわかります。
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近くで見ると波打っているのがわかります。

ところで、森ヶ崎水再生センターの取組みは以上に留まりません。その幅広い環境施策を「後編」でご紹介します!

(気候・エネルギーグループ 吉川)

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自然保護室(気候・エネルギー)
吉川 景喬

公共政策修士(専門職)(京都大学) 大学院では環境政策、公共ガバナンスを中心として公共政策学を専攻。修了後は、大手物流企業でコーポレートガバナンスに関する業務に従事。2021年にWWFジャパンに入局。気候変動・エネルギーに関する国内政策アドボカシーを担当。

学生時代には季節のおいしいものを食べ歩き、度々近所の川べりを散歩していました。皆さん一人ひとりに身近な自然があるかと思います。それを根底から揺るがす気候変動。その対処に向けて社会の全てのアクターの方々と一緒に取り組んでいきます!

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