© RILO A/P

日本がリード!アジア大洋地域の税関の取り組み


日本の水際を守る大事な責務を担う「税関」。

各国との取引を円滑に、かつ安全に行なうため、他国の動向や情報を把握し、共有し合うことは非常に重要で、また、違反行為を取り締まるためには、連携した取り組みが必要です。

こうした税関に関連する日々の情報交換や、地域レベル、全世界レベルで密輸の取り締まり強化を図っている組織があるのをご存知でしょうか?

WCO:World Customs Organization:世界税関機構の地域組織であるRILO(Regional Intelligence Liaison Office:地域情報連絡事務所)です。

現在、世界6つの地域に12カ所事務所をかまえ、特に地域レベルの連携強化を図っています。

日本は34カ国が参加するアジア大洋地域RILO・A/P(Asia /Pacific)に属する国の一つ。

このA/P地域を統括する地域事務所は、参加国の中から順次ホスト国が移管されているのですが、2024年1月からは、日本がホスト国になりました!

2月6日、日本事務所の開所式が東京の港区三田で開催され、前ホスト国である韓国からバトンを渡されました。ホスト国は、地域のリードを取ると共に、それぞれの情報や施策の動向をいち早く把握することができます。
© RILO A/P

2月6日、日本事務所の開所式が東京の港区三田で開催され、前ホスト国である韓国からバトンを渡されました。ホスト国は、地域のリードを取ると共に、それぞれの情報や施策の動向をいち早く把握することができます。

開所式では、岸田文雄首相(写真左)やWCOのイアン・サンダース事務総局長(写真右)からのメッセージが届けられました
© RILO A/P

開所式では、岸田文雄首相(写真左)やWCOのイアン・サンダース事務総局長(写真右)からのメッセージが届けられました

年間およそ3兆円(230億ドル)規模とも言われる違法な野生生物取引は、国際的な環境犯罪のひとつとして位置づけられています。

とりわけ、アジアは密猟・密輸のホットスポット。その撲滅に向けた、税関での水際対策はとても重要です。

開所式にて。野生生物の国際取引を規制するワシントン条約のイヴォンネ・イゲーロ事務局長が来日し、違法な野生生物取引について、国際課題として協力して取り組む重要性、野生動植物の保護への貢献について述べました
© RILO A/P

開所式にて。野生生物の国際取引を規制するワシントン条約のイヴォンネ・イゲーロ事務局長が来日し、違法な野生生物取引について、国際課題として協力して取り組む重要性、野生動植物の保護への貢献について述べました

WWFでもA/P地域オフィス間で協働し、野生生物取引の課題解決に向けたツールを開発するなど、さまざまな取り組みを手掛けています。

日本がRILO・A/Pのホスト国になったことを機に、今後さらに水際対策促進のために協力していきたいと思います。

この記事をシェアする

自然保護室(野生生物 グループ長)、TRAFFIC
西野 亮子

学士(芸術文化)
2009年よりTRAFFICにて広報分野を中心に従事し、イベント運営、出版物作成などワシントン条約に関する普及啓発に努める。2016年からは重点種(特に注力すべき種)プログラム推進に携わり、取引を中心とした現状調査を担当。2018年以降は、関係する行政機関や企業へ働きかけ、取り組み促進を促す活動に従事し、野生生物の違法取引(IWT)の撲滅、持続可能ではない野生生物取引削減を目指す。ワシントン条約第70回常設委員会参加。東京都象牙取引規制に関する有識者会議委員(2022年3月終了)

「野生生物を守る」ことを起点に、そこに暮らす人、その場所の環境、そして利用する側の意識、すべての段階で取り組みが必要です。生息地から市場まで、それらを繋ぐことが私の役割です。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP