南米の森の王者ジャガー、アメリカに出現?
2024/01/23
近年、アメリカ合衆国(以下、アメリカ)でジャガーの姿が度々捉えられています。
ニュースによると昨年2023年3月と5月にアメリカ南部、アリゾナ州で若いオス個体が歩く姿が自動撮影カメラに写っていたとのこと。
ジャガーといえばアマゾン!のような印象があるかもしれませんが、元々、ジャガーは中南米だけでなく大陸の北部、アメリカにも分布していた動物です。
しかし、ハンティングや開発による生息地の破壊により、20世紀前半には繁殖する個体群がいなくなってしまいました。
実際、現代のアメリカでは、ジャガーは大変稀な野生動物で、過去10年に確認された個体もわずか3頭。それも、メキシコからやってきた個体と考えられています。
またこれまでに確認された個体は全てオスで、メスは1949年以降一度も見られていません。
しかし、去年確認されたジャガーには、若い個体もおり、アメリカ国境近くの地域で繁殖している可能性があります。
大変喜ばしいニュースですが、アメリカとメキシコの国境には数年前にアメリカ政府により新設された壁が存在しており、ジャガーの移動や今後の定着の大きな障壁となると指摘されています。
また今回のアメリカの事例のように、一部ではジャガーの生息が新たに確認されている地域もある一方、山火事や森林破壊、密猟などにより世界全体の個体数は、今も減少傾向にあります。
ジャガーたちが本来の数を取り戻し、安心して暮らせるように。
今後とも各生息地と情報交換を行ないながら、保全活動を進めていきます(野生生物グループ・岡元)。