© WWF-Sweden / Ola Jennersten

南米の森の王者ジャガー、アメリカに出現?


近年、アメリカ合衆国(以下、アメリカ)でジャガーの姿が度々捉えられています。

ニュースによると昨年2023年3月と5月にアメリカ南部、アリゾナ州で若いオス個体が歩く姿が自動撮影カメラに写っていたとのこと。

ジャガーといえばアマゾン!のような印象があるかもしれませんが、元々、ジャガーは中南米だけでなく大陸の北部、アメリカにも分布していた動物です。

しかし、ハンティングや開発による生息地の破壊により、20世紀前半には繁殖する個体群がいなくなってしまいました。

アメリカではかつてカリフォルニア州などにもジャガーが生息していました。
© Max Ribbink - MJR Fotografie/ WWF

アメリカではかつてカリフォルニア州などにもジャガーが生息していました。

実際、現代のアメリカでは、ジャガーは大変稀な野生動物で、過去10年に確認された個体もわずか3頭。それも、メキシコからやってきた個体と考えられています。

またこれまでに確認された個体は全てオスで、メスは1949年以降一度も見られていません。

しかし、去年確認されたジャガーには、若い個体もおり、アメリカ国境近くの地域で繁殖している可能性があります。

アリゾナ州の森林地帯
© Lauren Hutchings / WWF

アリゾナ州の森林地帯

大変喜ばしいニュースですが、アメリカとメキシコの国境には数年前にアメリカ政府により新設された壁が存在しており、ジャガーの移動や今後の定着の大きな障壁となると指摘されています。

また今回のアメリカの事例のように、一部ではジャガーの生息が新たに確認されている地域もある一方、山火事や森林破壊、密猟などにより世界全体の個体数は、今も減少傾向にあります。

ジャガーたちが本来の数を取り戻し、安心して暮らせるように。

今後とも各生息地と情報交換を行ないながら、保全活動を進めていきます(野生生物グループ・岡元)。

【寄付のお願い】ジャガーの未来のために|野生動物アドプト制度 ジャガー・スポンサーズ

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
岡元 友実子

獣医学修士(ソウル大学)/ 学芸員 / IUCN カワウソ専門家グループメンバー
学部から大学院に至るまで、野生動物について専門的に学ぶ。修了後、上野動物園など日本および台湾での動物園勤務を経て、2021年WWFジャパン入局。現在はペットプロジェクトに関連した業界変容を担当。

学生時代に海外で野生のカワウソを見たことをきっかけに、大のカワウソ好きに。「二ホンカワウソ絶滅」の悲劇を二度と起こしてはならない!の決意を胸に日々野生動物保全のため奮闘中。特技は語学(英語・中国語・韓国語)。

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