ジャガーの森の小さな主役たち ~国際ジャガーの日に
2023/11/29
色も形も大きさも実にさまざま。種類や名前は皆目分かりません。
何の名前か?といいますと、キノコです。
ここは、南米アマゾン北部の森の中。私たちWWFが野生のジャガーの調査活動を行なっている現場です。
高いものでは40m以上にもなる木々の樹冠に覆われた林床は薄暗く、地面も空気も湿気を帯びています。
キノコたち菌類には、まさにうってつけの環境。
実際、森の土を見ると、菌類の働きが、日本とは比較にならないほど活発なことがわかります。大きな樹木が生えているのに、土壌がとても浅いのです。
理由は、枯れた草木を、たくさんの菌類や虫、微生物などが、あっという間に分解してしまうため。
日本の森では、分解しきらない腐葉土などが堆積した、黒土の層が見られますが、アマゾンにはほぼ、それがありません。
その分、植物たちはエネルギーを太陽に求め、高い場所で争うように枝を広げ、地上数十メートルの場所に、高密度の生物の生存圏を形成します。
これこそが、熱帯雨林が生物多様性の宝庫、と言われるゆえんです。
ジャガーやバク、サルや1,000種以上の鳥類など、いわゆる「アマゾン」の森の生きものたちは、私たちを惹きつける、さまざまな魅力をたたえています。
ですがその自然は、森の環境を作り出すことに一役買っている、キノコのような目立たぬ生きものたちが、支えているものでもあります。
こうした生きものの働きとつながりを守らなければ、ジャガーの森を未来にのこしていくことはできません。
11月29日は「国際ジャガーの日(International Jaguar Day)」。
世界でジャガーの保全を考えるこの日に、その足元の自然を支えている、森の小さな主役たちにも、ぜひ目を向けていただければと思います。