© Emmanuel Rondeau / WWF France

ジャガーの森の小さな主役たち ~国際ジャガーの日に


色も形も大きさも実にさまざま。種類や名前は皆目分かりません。

何の名前か?といいますと、キノコです。

南米アマゾン北部の森の中のキノコ1
© J.Mima/WWF Japan
南米アマゾン北部の森の中のキノコ2
© J.Mima/WWF Japan

ここは、南米アマゾン北部の森の中。私たちWWFが野生のジャガーの調査活動を行なっている現場です。

高いものでは40m以上にもなる木々の樹冠に覆われた林床は薄暗く、地面も空気も湿気を帯びています。

キノコたち菌類には、まさにうってつけの環境。

実際、森の土を見ると、菌類の働きが、日本とは比較にならないほど活発なことがわかります。大きな樹木が生えているのに、土壌がとても浅いのです。

理由は、枯れた草木を、たくさんの菌類や虫、微生物などが、あっという間に分解してしまうため。

日本の森では、分解しきらない腐葉土などが堆積した、黒土の層が見られますが、アマゾンにはほぼ、それがありません。

その分、植物たちはエネルギーを太陽に求め、高い場所で争うように枝を広げ、地上数十メートルの場所に、高密度の生物の生存圏を形成します。

これこそが、熱帯雨林が生物多様性の宝庫、と言われるゆえんです。

© J.Mima / WWF Japan

樹高40m~70mにもなる熱帯林の木。生涯をこの樹上でくらし、一度も地面に降りてこない野生動物もいます。

ジャガーやバク、サルや1,000種以上の鳥類など、いわゆる「アマゾン」の森の生きものたちは、私たちを惹きつける、さまざまな魅力をたたえています。

ですがその自然は、森の環境を作り出すことに一役買っている、キノコのような目立たぬ生きものたちが、支えているものでもあります。

こうした生きものの働きとつながりを守らなければ、ジャガーの森を未来にのこしていくことはできません。

11月29日は「国際ジャガーの日(International Jaguar Day)」。

世界でジャガーの保全を考えるこの日に、その足元の自然を支えている、森の小さな主役たちにも、ぜひ目を向けていただければと思います。

【寄付のお願い】ジャガーの未来のために|野生動物アドプト制度 ジャガー・スポンサーズ

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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