© Ola Jennersten / WWF-Sweden

南米でたくましく生きる!最大のげっ歯類カピバラ


WWFジャパンが支援する、南米アマゾンでのジャガー保全プロジェクト。

生態系の頂点に立つジャガーが生きていくためには、生息環境が守られることはもちろん、獲物となる野生動物が豊富に存在することが欠かせません。

ジャガーはシカや鳥、ワニや魚など多種多様な動物を食べることが知られていますが、世界最大のげっ歯類(ネズミの仲間)である「カピバラ」も重要な獲物の一種です。

カピバラを捕食するジャガーの様子。
© WWF-Sweden / Ola Jennersten

カピバラを捕食するジャガーの様子。

カピバラは、日本でもその名がよく知られている動物。

その名の語源が先住民の言葉で「草を食べるもの」を意味する通り、森の葉から地表の草にいたるまで、幅広い植物を食べて暮らす草食動物です。

また最近の研究から、カピバラの柔軟な食性が、人の手が入った環境にも適応する事を可能にし、都市部での個体数を増やしていることが明らかになりました。

ブラジルの首都・ブラジリアの公園で草を食べながらくつろぐカピバラたち。
© WWF/J. Mima

ブラジルの首都・ブラジリアの公園で草を食べながらくつろぐカピバラたち。

しかし、これはカピバラにとって良いことばかりではなく、新たな問題の原因にもなっています。

たとえば、人の居住地に現れるようになったカピバラが、農作物を食べて、栄養過多になることで健康を害してしまったり、道路で交通事故に遭う問題が発生。

また、人の側にも、カピバラに畑を荒らされたり、この動物が媒介する感染症「ブラジル紅斑熱(Brazilian spotted fever)」に罹患するなどの被害が生じています。

© David Lawson / WWF-UK

ブラジル紅斑熱はダニが運ぶ特定の細菌(Rickettsia rickettsii)によって引き起こされる動物由来感染症で、カピバラがこのダニの主な宿主の一つであると明らかになっています。

都市環境にたくましく適応できるとはいっても、カピバラは本来、自然の森などの水辺に暮らす動物。

もともとのあり方とは大きく異なる不自然な生き方をすることになれば、さまざまな問題を引き起こすことになります。

豊かな自然と、そこに生きる野生の生きもの本来の姿を、未来に引き継いでいくために、

今後もジャガーや共に暮らす野生動物たちの生息地を守る活動を続けていきます(野生生物グループ・岡元)。

【寄付のお願い】ジャガーの未来のために|野生動物アドプト制度 ジャガー・スポンサーズ

この記事をシェアする

自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
岡元 友実子

獣医学修士(ソウル大学)/ 学芸員 / IUCN カワウソ専門家グループメンバー
学部から大学院に至るまで、野生動物について専門的に学ぶ。修了後、上野動物園など日本および台湾での動物園勤務を経て、2021年WWFジャパン入局。現在はペットプロジェクトに関連した業界変容を担当。

学生時代に海外で野生のカワウソを見たことをきっかけに、大のカワウソ好きに。「二ホンカワウソ絶滅」の悲劇を二度と起こしてはならない!の決意を胸に日々野生動物保全のため奮闘中。特技は語学(英語・中国語・韓国語)。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

PAGE TOP