南米でたくましく生きる!最大のげっ歯類カピバラ
2023/12/22
WWFジャパンが支援する、南米アマゾンでのジャガー保全プロジェクト。
生態系の頂点に立つジャガーが生きていくためには、生息環境が守られることはもちろん、獲物となる野生動物が豊富に存在することが欠かせません。
ジャガーはシカや鳥、ワニや魚など多種多様な動物を食べることが知られていますが、世界最大のげっ歯類(ネズミの仲間)である「カピバラ」も重要な獲物の一種です。
カピバラは、日本でもその名がよく知られている動物。
その名の語源が先住民の言葉で「草を食べるもの」を意味する通り、森の葉から地表の草にいたるまで、幅広い植物を食べて暮らす草食動物です。
また最近の研究から、カピバラの柔軟な食性が、人の手が入った環境にも適応する事を可能にし、都市部での個体数を増やしていることが明らかになりました。
しかし、これはカピバラにとって良いことばかりではなく、新たな問題の原因にもなっています。
たとえば、人の居住地に現れるようになったカピバラが、農作物を食べて、栄養過多になることで健康を害してしまったり、道路で交通事故に遭う問題が発生。
また、人の側にも、カピバラに畑を荒らされたり、この動物が媒介する感染症「ブラジル紅斑熱(Brazilian spotted fever)」に罹患するなどの被害が生じています。
都市環境にたくましく適応できるとはいっても、カピバラは本来、自然の森などの水辺に暮らす動物。
もともとのあり方とは大きく異なる不自然な生き方をすることになれば、さまざまな問題を引き起こすことになります。
豊かな自然と、そこに生きる野生の生きもの本来の姿を、未来に引き継いでいくために、
今後もジャガーや共に暮らす野生動物たちの生息地を守る活動を続けていきます(野生生物グループ・岡元)。