身近な施設で見られる野生動物たち:その利用と問題
2022/07/13
先日、岡山県の遊園地から、来園者とのふれあい目的で飼育していたグリーンイグアナが逃走したことが報道されました。
こうした野生動物種の飼育は、施設や店舗での展示、個人のペットなどを目的に、日本でも多数行なわれていますが、実はさまざまな問題がついてまわります。
一つは、その動物種の絶滅や、密輸につながるリスク。グリーンイグアナは絶滅危機種ではありませんが、他の種を含めたイグアナ類は、世界的に「ペット需要が高く、それが原因で生息地での違法な捕獲や取引を招いています。
また野生動物との「ふれあい」も、動物に肉体的・精神的ストレスを与えたり、動物から人に感染する、動物由来感染症にさらすリスクを高めます。
さらに、外国産の動物が野外に逃げたり、放したりされた場合、外来種となって日本在来の生態系に深刻な影響を及ぼす可能性もあります。
残念ながら、全国各地のイベントや商業施設では、こうしたさまざまなリスクを伴った、野生動物の展示や販売などが、今も続けられているのです。
WWFジャパンが近年訪れた全国各地のショッピングモールにおいても、カピバラやフェネック、フクロウやヘビなどの野生動物に直接ふれあうサービスを提供するイベントや店舗を多数確認しています。
その中には、IUCNのレッドリストで絶滅のおそれが高いことが指摘され、国際的な取引が規制されている野生動物も見られました。
皆さんにとって身近なお店や施設などでも、海外の野生動物を利用した展示や販売をしている例があるかもしれません。
そうした時は是非、今回お伝えしたような、さまざまな「リスク」のことを、思い出してみてください(野生生物G・岡元)。