民間セクターが社会を動かす!アジアで進む感染症パンデミック予防策
2020/08/27
7月23日、ベトナム政府が野生生物取引に関する新たなモラトリアム(一時停止措置)を発表しました。
内容は、野生動物の輸入禁止(食糧や医療に使用されるものは除く)や、違法な野生生物製品が販売されている市場の閉鎖。
その他にも飼育繁殖施設を適切に管理するための仕組み導入など法整備を進めることが盛り込まれています。
アジア地域では、生きた動物や食肉が不衛生で管理が不十分な状態の中取引されている市場が数多く存在します。
これまでも問題は指摘されてきましたが、政策に反映されるほど重要視されてこなかったのです。
しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がその状況を変えました。
新型コロナウイルスもその一つと考えられる「動物由来感染症」の発症と拡大は、自然破壊による野生生物と人の接近や、管理の行き届かない市場での取引が、引き起こしていると指摘されるようになったためです。
今回、歓迎すべき重要な点は、こうした政策を後押ししたのが市民社会からの声だったことです。
WWFを含めた14の自然保護団体が2月、違法な野生生取引市場を閉鎖するよう政府に書簡を提出。その後ベトナム政府は3月に、これを検討することを発表していました。
今回の発表は、それを実行に移すための具体的な内容を示したものになります。
1月に野生動物の国内取引の停止を決めた中国に続き、こうした政府による迅速な対応は、新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックの脅威と、その根本的な原因が自然破壊であることを世界が突き付けられた結果に他なりません。
過度な野生生物利用が、自然環境全体のバランスを壊し回復不可能になる前に、これからも持続可能な社会を目指し活動を続けていきたいと思います。