©WWFジャパン

リュウキュウヤマガメなどの希少なカメ64頭が盗難!


「希少なカメ大量盗難!」というショッキングなニュースが飛び込んできました。
報道によれば、リュウキュウヤマガメ15頭、セマルハコガメ49頭が沖縄市の動物園から盗まれてしまったとのこと。

両種は、限られた地域だけに生息し、特別に価値が高い生きものとされ、国の法律や条令で捕獲が禁止されています。
しかし、ペットとしての人気の高まりと同時に、海外での販売が確認されるようになったことから違法取引が問題視されていました。そして、2013年にワシントン条約の保護対象種に指定され、国を超えた取引についても規制が及ぶようになったのです。

しかし、法的な規制が強まった今でもなお、違法取引の脅威はなくなりません。2018年には、リュウキュウヤマガメ60頭が日本から持ち出され、香港の空港で押収される事件が起こっています。
今回盗難されたカメも、海外に密輸される可能性は十分考えられるのです。

リュウキュウヤマガメ リュウキュウヤマガメは沖縄諸島の沖縄本島、渡嘉敷島、久米島だけに生息するヤマガメの仲間。生息数の減少が心配されています。
©TRAFFIC

リュウキュウヤマガメ
リュウキュウヤマガメは沖縄諸島の沖縄本島、渡嘉敷島、久米島だけに生息するヤマガメの仲間。生息数の減少が心配されています。

ヤエヤマセマルハコガメ ドーム状に盛り上がった甲羅に、頭部側面の鮮やかな黄色は愛好家の中でも人気があり、密輸の対象に。
©WWF Japan

ヤエヤマセマルハコガメ
ドーム状に盛り上がった甲羅に、頭部側面の鮮やかな黄色は愛好家の中でも人気があり、密輸の対象に。

規制が有効に機能するためには、水際での法執行強化も必要です。
2019年には沖縄や鹿児島地域で行政や警察、民間企業、NPOなどによる「密猟・密輸対策連絡会議」が発足しました。希少種の密猟防止や地域外への持ち出し事案の摘発に向け、関係機関が連携して、情報収集や対策、監視・連絡体制を強化しています。

WWFの野生生物取引監視部門であるトラフィックも、税関や空港職員向けの研修に携わり、こうした取り組みを支援していきます。

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自然保護室(野生生物)
北出 智美

修士(生物学、生物多様性マネジメント)
国際的な自然保護に携わることを目指し、カナダのブリティッシュコロンビア大学で生物学を専攻。遺伝子レベルの進化と多様性に魅せられアルバータ大学でシカの遺伝子の研究を行なった。国際NGOでの就職を目指しオックスフォード大学で生物多様性マネジメントを履修し、帰国後外務省任期付職員として環境条約に携わる部署に勤務した後、2013年にWWFジャパンに入局。WWFでは野生生物取引に特化した活動を行うTRAFFICで活動し、2020年より現職(2018年からTRAFFICジャパンオフィスの代表も務める)。

「野生生物取引」の問題は、SNSで話題のカワイイの野生動物ペットから、犯罪組織と巨額のマネーがからむ密輸の問題まで本当にダイナミックで、活動の切り口も様々。日々、新しいことを学びながら、今、自分たちがやるべきことは何かを考え抜き、行動したいと思っています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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