© Martin Harvey / WWF

アフリカの大河ナイルの源へ


ダルエスサラームに向かう飛行機。その窓から見下ろすアフリカの大地を、それまで一つも無かった雲が突然、厚く覆い始めます。

時は5月半ば、雨期のケニアに入ったのです。

こうも気候が違うのか。

そう思いつつ、後方に目をやると、その雲の海に、島のような高い台地が浮かんでいるのが見えました。
エチオピア高原です。

標高は約2,000~3,000m。
先刻飛び立った、アディスアベバの空港と町も、あの上にあります。

残念ながら、アディスアベバは今回、タンザニアのダルエスサラームに向かう空路の中継地として立ち寄っただけ。空港からも出られませんでした。

しかし、あのエチオピア高原には、世界であの場所にしか生息していない、希少な野生の生きものたちが数多く息づいています。

エチオピアの固有種アビシニアジャッカル、別名エチオピアオオカミ。他にもゲラダヒヒ、マウンテンニアラなど、この地にしか生息していない野生生物が数多くいます。
© Martin Harvey / WWF

エチオピアの固有種アビシニアジャッカル、別名エチオピアオオカミ。他にもゲラダヒヒ、マウンテンニアラなど、この地にしか生息していない野生生物が数多くいます。

乾燥した高地、緑は乏しく見えるけれども、豊かな自然。
そして、標高4,000mを楽に超える山の峰々。

同じアフリカでも、ケニアやタンザニアとは異なった、生物多様性の広がる世界です。

もう一つ、このエチオピア高原で特筆するべきは、ここが大河ナイルの重要な源流の一つになっていること。

ナイル川は、青ナイルと白ナイルと呼ばれる2つの大きな本流を持ち、それがスーダンの首都ハルツームで合流し、地中海にそそぎます。

その青ナイルの源が、エチオピア高原なのです。

そして、この時に向かっていたのは、もう一つの流れ、白ナイルの源流である、アフリカ大地溝帯の湖沼群が待つ東アフリカの大地。

大陸を割り、大地溝帯を生み出した、大自然の力が形作る壮大な景観が、私たちWWFがアフリカゾウの保全に取り組むフィールドです。

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この命豊かな大地の姿と、私たちが新たに日本から支援を届けることになったWWFタンザニアが取り組む活動を、これから皆さんにお伝えしていきたいと思います。

【寄付のお願い】アフリカゾウの未来のために|野生動物アドプト制度 アフリカゾウ・スポンサーズ

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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