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タガメやサンショウウオ獲ってもいいの?


生きものうごめく春の気配を感じる季節になってきました。そろそろ里山へ、野の草や水辺の生きものを探しにいきたいなと考えています。

そんな話をしていた知人から、「タガメやサンショウウオを捕まえると違法なの?」と質問されました。

タガメ等が「種の保存法」で保護される種に指定されたという報道を見て心配になったようです。

2月10日から新たに保護種に指定された日本の野生生物は63種。

今回「種の保存法」で追加指定されたリュウキュウヤマガメ
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今回「種の保存法」で追加指定されたリュウキュウヤマガメ

このうち、タガメ、トウキョウサンショウウオ、カワバタモロコの3種が、初めて「第二種」(特定第二種国内希少野生動植物種希少種)に指定されました。

「第二種」指定種となったタガメ
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「第二種」指定種となったタガメ

「種の保存法」で指定された野生生物は、その捕獲や譲渡が原則禁止されます。しかし、指定種の「第二種」については、販売目的の行為だけが禁止されます。

タガメ等の3種は、童話にも登場する身近な生きものでしたが、今は絶滅危惧種。数が減った原因の一つは、営利目的の乱獲です。

希少種の生息情報を悪用して根こそぎ獲り去り、インターネットで販売する悪質な業者の存在も指摘されています。

今回の指定により、こうした行為が罰則付きで禁止されたことは、朗報といえるでしょう。

他方、「第二種」の生きものを、自然観察会や研究目的で捕獲することは、禁止されていません。

今回「第二種」に指定された種が生息し、劣化が深刻な水田など里山の自然を守るためには、多くの人の共感と協力が必要です。

そのためにも重要な、自然の価値を体感し、野生生物と触れ合う機会は、法律上認められているのです。

そんなわけで知人の質問には、「観察目的で捕まえたりするのは大丈夫」と答えました。

今年もタガメやサンショウウオに会えるといいね、と心から願いながら。

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自然保護室(野生生物)
小田 倫子

弁護士として10年間稼働後、家族の転勤に伴い沖縄県名護市に居住したことを契機に、自然保護の仕事を志し大学で保全生態学を専攻、2013年WWF入局。法人パートナーシップ担当として生物多様性保全・気候危機対策に関する企業との協働プロジェクトの提案・実施業務を担当後、野生生物グループに異動、今は国内希少種を保全するフィールドプロジェクトを担当。
学士(法学・農学 東京大学)
法学修士(カリフォルニア大学バークレー校)

国内希少種の宝庫である南西諸島で主に活動しています。フィールドで生き物に出会い、その美しさ・不思議さを仲間と分かち合える瞬間が至福の時。趣味は里山散策と水生生物の観察。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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