クローン生物 こんな身近にいた!「ギンブナ」
2019/11/21
「クローン」。
この言葉を聞いて、皆様、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
私は、映画「ルパン三世vs複製人間」のマモーや、ファミコンソフト「ファイナルファンタジーⅢ」の敵モンスターなどが思い浮かび、「SFの世界のもの」というイメージが強かったです(年代がバレてしまいますが、、、)。
1996年にクローン羊「ドリー」が誕生して以来、クローン技術はSFの世界から脱し、一般的になりつつあると思います。
しかし、日本の自然には昔から、しかも身近なところにクローン生物が存在してきました。
それが「ギンブナ」です。
ギンブナは日本全国の河川、小川、水田水路、池など広く分布している淡水種 の一種です。
そして、そのギンブナは地域によってはほとんどがメスで、しかもクローンなのです。
その事実だけでも驚きなのですが、繁殖行動もすごいです。
ギンブナのメスは、他の魚と同様、卵を産むのですが、なんとその卵は、ギンブナ以外の魚の精子が接触した「刺激」によって発生を開始します。
その際、精子のDNAは卵内に取り込まれないため、メス親のDNAのみを持った、クローンギンブナが誕生するのです。
見た目は地味で、どこの川や池にでもいそうなギンブナ。
だけどその生態は、まさにSF。自然って面白い!!
こうしたギンブナのような 生きものに出会える環境の一つに、水田とそれをめぐる水路がありますが、近年は開発や整備によって、こうした自然も豊かさや多様性を失っています。
そんな、意外に身近な場所にもある貴重な自然を守る活動を、これからも続けていかねばと思います。(海洋水産グループ 植松周平)