クローン生物 こんな身近にいた!「ギンブナ」


「クローン」。
この言葉を聞いて、皆様、どのようなイメージをお持ちでしょうか。

私は、映画「ルパン三世vs複製人間」のマモーや、ファミコンソフト「ファイナルファンタジーⅢ」の敵モンスターなどが思い浮かび、「SFの世界のもの」というイメージが強かったです(年代がバレてしまいますが、、、)。

1996年にクローン羊「ドリー」が誕生して以来、クローン技術はSFの世界から脱し、一般的になりつつあると思います。

しかし、日本の自然には昔から、しかも身近なところにクローン生物が存在してきました。

それが「ギンブナ」です。

ギンブナは日本全国の河川、小川、水田水路、池など広く分布している淡水種 の一種です。

そして、そのギンブナは地域によってはほとんどがメスで、しかもクローンなのです。

その事実だけでも驚きなのですが、繁殖行動もすごいです。

ギンブナのメスは、他の魚と同様、卵を産むのですが、なんとその卵は、ギンブナ以外の魚の精子が接触した「刺激」によって発生を開始します。

その際、精子のDNAは卵内に取り込まれないため、メス親のDNAのみを持った、クローンギンブナが誕生するのです。

私の田舎の田んぼ。今でも水路でギンブナの幼魚を見ることが出来ます。

私の田舎の田んぼ。今でも水路でギンブナの幼魚を見ることが出来ます。

見た目は地味で、どこの川や池にでもいそうなギンブナ。
だけどその生態は、まさにSF。自然って面白い!!

こうしたギンブナのような 生きものに出会える環境の一つに、水田とそれをめぐる水路がありますが、近年は開発や整備によって、こうした自然も豊かさや多様性を失っています。

そんな、意外に身近な場所にもある貴重な自然を守る活動を、これからも続けていかねばと思います。(海洋水産グループ 植松周平)

田んぼと生きもの保全「失われる命の色」

【寄付のお願い】失われる命の色 田んぼの魚たちと自然を守るために、ぜひご支援ください!

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自然保護室(海洋水産 IUU漁業対策マネージャー、水産資源管理マネージャー)
植松 周平

農学博士。東京大学大学院農学生命科学研究科において水域保全学に関する博士号を取得。その後、経営コンサルティング会社を経て、国際水産資源研究所(現 水産研究・教育機構)に入所。太平洋クロマグロの資源研究を行う。2013年よりWWFジャパンで勤務し、マグロ、カツオ、サンマといった国際水産資源の保全やIUU漁業対策に関わる業務に加え、事業戦略立案や各種業務改善等の社内コンサルタント業務にも従事。2021年には水産庁水産流通適正化法検討委員を務めた。

子供の頃から、田んぼや川、海で遊ぶことが大好きでした。高校生の時、幼少時の遊び場の環境破壊を目の当たりにし、「なんとかせねば」と思い環境保全の道を目指すことに。環境保全とは、生き物だけでなく、人々の生活も守ること。それは、とても難しいことだけど必要なことです。海洋保全研究者だけでなく、経営コンサルタントの経験も活かし、子供たちの未来のために、皆様と一緒に頑張っていきたいです。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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