熱帯マグロ漁で広がるサステナブルな利用の動き
2024/02/27
マグロ、というと、どのような魚を思い浮かべるでしょうか。
寿司や刺身の食材でしょうか。大きさ2m、初競りでは数千万円の値が付く高級魚、そんな印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
でも、マグロはもっと身近な魚でもあります。
たとえば、ツナ缶でよく使われているキハダ、そしてカツオも、歴としたマグロの一種。
そして、本まぐろ同様、資源の乱獲や枯渇が心配されている魚でもあります。
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南洋に生息する熱帯マグロの一種キハダ。日本でも重要な食材ですが、海外でも「Tuna」として、欧米をはじめ多くの国々で大量に利用されています。世界最大のカツオ・キハダの漁場である太平洋では、資源量が過去最低レベルまで減少しています。
私たちはこうしたシーフードの「持続可能(サステナブル)な利用」を促進するため、MSC(海洋管理協議会)による国際認証の普及に取り組んできました。
これは、資源量や海の環境に配慮した漁業を認証し、そこで生産されたシーフードにMSCのエコラベルを付け、消費者にも一目で、サステナブルなものであることが分かるようにする、世界共通の仕組みです。
環境や資源への配慮には、手間もコストもかかるため、これを実践する漁業者や水産会社の苦労は一通りではありません。
それでも、今では多くのシーフード関係者が、海の未来に危機感を抱き、協力しながらこうした取り組みを進め始めています。
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MSC認証を受けた水産物。店頭で販売されるパッケージには、MSCのロゴがエコラベルとしてつけられています。
その成果として2月15日、私たちWWFも協力してきた、カツオ・キハダのまき網漁が、この漁法では日本では初となるMSC認証を取得。
続いて2月27日にも、日本企業とミクロネシア連邦の国営企業の合弁会社によるカツオ・キハダのまき網漁が、同じくMSC認証を取得しました。
マグロは、私たちにとって、食べられることが当たり前、の魚かもしれませんが、サステナブルなシーフードとしては、まだ当たり前ではありません。
MSC認証をより広めながら、未来に向け、マグロのいる豊かな海を守っていきたいと思います。
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魚は生きものですから、獲りつくさなければ、また新たな命を生み、回復します。そのスピードと、使う量をきちんと考え、人が漁業を管理すれば、「持続可能」な水産物の利用は十分に可能なのです。