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海鳥の楽園!チリの海を飛ぶ、ハイイロミズナギドリ


生物多様性の豊かな南米チリの海に息づくさまざまな生きものの中でも、とりわけ目を引くのが、海鳥。

その数は500万羽ともいわれ、この海はまさに海鳥の楽園となっています。

そんな海鳥の中でも今回は、ミズナギドリ科の一種「ハイイロミズナギドリ」についてご紹介したいと思います。

ハイイロミズナギドリ(Ardenna grisea)。チリの沿岸から外洋にかけての海域には、ペンギン類やアホウドリ類、クジラドリやウの仲間など、多種多様な海鳥が息づいています。
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ハイイロミズナギドリ(Ardenna grisea)。チリの沿岸から外洋にかけての海域には、ペンギン類やアホウドリ類、クジラドリやウの仲間など、多種多様な海鳥が息づいています。

ハイイロミズナギドリは外洋性の海鳥で、世界の海に広く分布していますが、繁殖地は限られており、チリ南部はその重要な場所のひとつとなっています。

陸上では歩くのもままならない一方、海上を自由に飛翔し、さらには海中でも翼を使って飛ぶように泳ぎ、小魚、イカ、甲殻類などの獲物を捕らえます。

数多くのハイイロミズナギドリがチリ南部の海で群れる姿は、獲物となる生きものが豊富にあり、この海が豊かであることの証でもあります。

カタクチイワシ科の魚の一種アンチョベータ(ペルーカタクチイワシ)の群れ。ハイイロミズナギドリをはじめとした海鳥の食物としても重要な小魚です。
© WWF / JURGEN FREUND

カタクチイワシ科の魚の一種アンチョベータ(ペルーカタクチイワシ)の群れ。ハイイロミズナギドリをはじめとした海鳥の食物としても重要な小魚です。

しかし同時に、海鳥にとっての脅威も存在しています。

とりわけ大きな問題となっているのが、漁網に誤ってかかってしまう「混獲」。怪我をしたり、命を落としてしまうことも少なくありません。

特にハイイロミズナギドリは、獲物となるアンチョベータなどの小魚の漁業で、混獲の被害が最も多い種のひとつです。

そのため、適切な対策や管理を行ない、こうした被害を減らしていくことが求められています。

アンチョベータなどの小魚を漁獲する漁船に集まる海鳥
© Camila Lasalle

アンチョベータなどの小魚を漁獲する漁船に集まる海鳥

私たちは、この状況を改善するためにも、アンチョベータなどの漁業を改善するプロジェクトを推進。

これらの漁業をサステナブルなものとし、ハイイロミズナギドリをはじめとする野生生物や、海洋生態系への影響を最小限にすることを目指しています。

皆さまにもぜひ、こうしたチリの豊かな海の生物多様性を守る活動を、応援いただければと思います。(海洋水産グループ 吉田)

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自然保護室(海洋水産)
吉田 誠

チリ、インドネシア、中国のフィールドプロジェクトを担当。

田舎生まれの田舎育ち。こどもの頃から自然の中で遊ぶことが好きで、自然を守る仕事がしたいと思っていたところ、WWFと出逢いました。海の環境、海の生きものを守るため、頑張ります。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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