南米の海のライオン「オタリア」
2025/01/15
南米の海に生息するアシカの仲間、オタリア。
チリ南部の豊かな海の生態系を象徴する種のひとつでもあります。
英語ではSouth American Sea Lion「南米の海のライオン」と呼ばれ、実際に遭遇すると、名は体を表すかのような風格を感じさせます。
そんなオタリアは、アンチョベータなどの小魚、イカやタコなどの軟体動物をはじめ、さまざまな生きものを食物としています。
そのため、こうした生きものが豊富にいるチリ南部の海は、オタリアにとっての楽園なのです。
しかしオタリアは、人の海の利用による影響を最も受けている野生生物の一種でもあります。
特に、アンチョベータなどの小魚の漁業では、食物を求めてやってきたオタリアが漁網に誤ってかかってしまう「混獲」が多く発生しています。
また、チリ南部の海に広がる、サーモン養殖場での被害も問題となっています。
オタリアが養殖場の網を破ってサーモンを食べてしまうため、害獣として駆除されるといったことが起きているのです。
さらに、こうした漁業での混獲やサーモン養殖場での被害は、オタリアだけでなく、海鳥や鯨類などさまざまな海の生きものにも及び、海洋生態系への幅広い影響が心配されています。
そのため私たちは、小魚の漁業やサーモン養殖業をサステナブルな形に転換するための活動をはじめ、海洋保護区の管理強化や固有種チリイルカの保全活動など、幅広い取り組みを展開しています。
日本のサーモン消費とも深くつながりチリの海を守るために、ぜひ皆さんにも、私たちの活動を応援いただければと思います。(海洋水産グループ 吉田)