© Sonja Heinrich / WWF Chile

チリの海の豊かさを象徴する、チリイルカとミナミカマイルカ


南米チリの沿岸域にのみ生息する固有種「チリイルカ」。

そして、チリ、アルゼンチン、フォークランド諸島の周辺海域にのみ生息している「ミナミカマイルカ」。

どちらも、南米大陸南部パタゴニア地域の海の豊かさを象徴する鯨類です。

一見すると似ているチリイルカとミナミカマイルカですが、よく見ると背びれの形や、大きさが異なっています。

チリイルカ(別名:ハラジロイルカ)。丸みを帯びた背びれが特徴で、体長は1.7メートル程です。
© Sonja Heinrich / WWF Chile

チリイルカ(別名:ハラジロイルカ)。丸みを帯びた背びれが特徴で、体長は1.7メートル程です。

ミナミカマイルカ。チリイルカと比べ、背びれが尖っており、体長は2.1メートル程と少し大きいです。
© Cayetano Espinosa / WWF Chile

ミナミカマイルカ。チリイルカと比べ、背びれが尖っており、体長は2.1メートル程と少し大きいです。

また、性格にも違いがあります。

チリイルカは、控えめで自ら人の気配がする方に近づいてくることはあまりありません。

一方ミナミカマイルカは、好奇心が強く積極的に存在をアピールすることも少なくありません。

私がWWFチリのフィールド調査に同行した際にも、チリイルカは見つけるのに苦労しましたが、ミナミカマイルカは自ら私たちの乗るボートに近づいてきてジャンプを披露してくれました。

チリイルカの調査に同行した際に遭遇したミナミカマイルカ。移動範囲が比較的狭く、海岸近くに多く生息するために、人間の影響を受けやすい野生生物の一種です。
© WWF-Japan

チリイルカの調査に同行した際に遭遇したミナミカマイルカ。移動範囲が比較的狭く、海岸近くに多く生息するために、人間の影響を受けやすい野生生物の一種です。

私たちは、チリの固有種で個体数の減少が危ぶまれているチリイルカに着目し、フィールドでの調査や保全計画づくりに取り組んできました。

ですが、沿岸漁業の漁網に誤ってかかる混獲など、チリイルカを脅かす問題は、ミナミカマイルカにとっても脅威です。

チリイルカを保全するための活動は、ミナミカマイルカやその他の鯨類、さらにはチリ南部パタゴニア地域の豊かな海を守ることにもつながります。

こうしたチリの海で取り組む活動にご関心をお持ちいただき、ぜひ応援いただければと思います。(海洋水産グループ 吉田)

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自然保護室(海洋水産)
吉田 誠

チリ、インドネシア、中国のフィールドプロジェクトを担当。

田舎生まれの田舎育ち。こどもの頃から自然の中で遊ぶことが好きで、自然を守る仕事がしたいと思っていたところ、WWFと出逢いました。海の環境、海の生きものを守るため、頑張ります。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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