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杉並どうぶつ相談員研修で伝える「野生動物との付き合い方」


2023年11月、 「杉並どうぶつ相談員」になることを希望する約40名を対象とした講座において、野生動物をテーマとした講義を実施しました。

杉並どうぶつ相談員とは条例に基づき杉並区が設置した「杉並区動物適正飼養普及員」の愛称で、ボランティアとして動物の飼い方や動物との付き合い方等の相談や普及活動を行なう方々のことです。

講義の様子
© WWF Japan

講義の様子 © WWF Japan

講義の中では、希少野生動植物種や特定動物、特定外来生物など、国内法において指定されるさまざまな動植物種や、その飼育についての規制などを説明。

これらの規制が生まれた背景や、関連する課題などについても紹介しました。

特定動物に指定されているインドニシキヘビ(Python molurus)。人に危害を加えるおそれのある危険な動物として指定された「特定動物」約650種のペット目的の飼育は2020年6月1日以降禁止されています。<br>※特定動物:人に危害を加えるおそれのある危険な動物とその交雑種を指す。<br>
© WWF / Urs Woy

特定動物に指定されているインドニシキヘビ(Python molurus)。人に危害を加えるおそれのある危険な動物として指定された「特定動物」約650種のペット目的の飼育は2020年6月1日以降禁止されています。 © WWF / Urs Woy
※特定動物:人に危害を加えるおそれのある危険な動物とその交雑種を指す。

また講義の後半では野生動物と我々人間がどのように付き合っていくかをテーマに「野生動物のペット利用」に関する課題を伝えました。

近年、日本で注目を集める犬猫以外の「エキゾチックペット」にはサルやフクロウ、トカゲなどの野生動物が含まれており、その利用は「種の絶滅」「違法取引」「動物由来感染症」「動物福祉」「外来生物の発生」に関するリスクを伴います。

このため、こうしたリスクを理解し、自らの行動を変えるだけでなく、どうぶつ相談員として周りに普及し、共に課題解決を行なっていくことの大切さを訴えました。

2007 ~ 2018 年に合計 78 件(1,161 匹)の日本向けの「ペット」密輸が税関で発覚しており、ペットショップ経営者が関与していた事例も確認されています。
© Martin Harvey / WWF

2007 ~ 2018 年に合計 78 件(1,161 匹)の日本向けの「ペット」密輸が税関で発覚しており、ペットショップ経営者が関与していた事例も確認されています。

現在、こうした専門ボランティアの設置や運営については自治体毎に異なる状況ですが、杉並区の事例のように地元の方々を通じて飼育動物と人間の関わりや課題について普及啓発を行なうことはとても意義があります。

私たちはこれからも、野生動物の保全を促すため、多様な機会を通した活動を続けていきます(野生生物グループ・岡元)。

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
岡元 友実子

獣医学修士(ソウル大学)/ 学芸員 / IUCN カワウソ専門家グループメンバー
学部から大学院に至るまで、野生動物について専門的に学ぶ。修了後、上野動物園など日本および台湾での動物園勤務を経て、2021年WWFジャパン入局。現在はペットプロジェクトに関連した業界変容を担当。

学生時代に海外で野生のカワウソを見たことをきっかけに、大のカワウソ好きに。「二ホンカワウソ絶滅」の悲劇を二度と起こしてはならない!の決意を胸に日々野生動物保全のため奮闘中。特技は語学(英語・中国語・韓国語)。

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