2024年 新年のご挨拶
2024/01/01
あけましておめでとうございます。
WWFジャパン事務局より、新年のご挨拶を申し上げます。
この一年間、地球環境の問題にご関心を寄せ、ご支援や協働、さまざまな形でWWFの環境保全活動をお支えいただきましたことに、心より御礼を申し上げます。
昨年も、新たな取り組みがいくつも生まれた1年でした。
その一つが、「野生動物アドプト制度」です。これは、絶滅の恐れのある野生動物を守るため、インド、ブラジル、タンザニアのWWF事務局が取り組むフィールド・プロジェクトをサポートする新しい仕組みで、西ヒマラヤのユキヒョウ、アマゾンのジャガー、東アフリカのアフリカゾウを支援の対象としています。
また、年末には、この3種の野生動物のぬいぐるみを親しい方に「ギフト」としてお送りいただくことで、保護活動にご参加いただける支援方法もスタートしました。
こうした取り組みは、絶滅の危機にある野生動物の保護活動と、それを支える支援の輪を大きなものにしていくことを目指したものですが、実際には、それ以上の意味と貢献を持つものでもあります。
ユキヒョウであれ、ジャガーであれ、アフリカゾウであれ、その危機の要因には、森林破壊や気候変動、そして地域で暮らす人々と生きものの「あつれき」といった、他の野生生物の危機にも通じる、さまざまな「生物多様性」の問題があるからです。
野生動物の保護活動とは、これらの複雑な問題を解決し、失われつつある生物多様性を回復させていく、そんなより大きな取り組みの一部でもあるのです。
実際、生物多様性の保全、そして回復に向けた機運は、世界的にも確実に高まっています。
昨年2023年は、2022年末に国連生物多様性条約会議(COP15)で合意された、生物多様性保全の国際目標の実現に向け、「ネイチャー・ポジティブ」すなわち生物多様性の回復を目指す、新たな動きがスタートした一年となりました。
この動きは、各国政府による政策の改善にとどまらず、ビジネスや金融の世界でも高い関心を呼んでいます。9月には、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の提言が発表され、日本企業もこれに大きく注目。こうした国際的な出来事は、企業によるビジネスや、投資家による投融資の観点にも「ネイチャー」が確かな足場を得つつあることを物語っています。
気候変動(地球温暖化)についても、世界中の自治体や市民組織、企業などが、「パリ協定」の達成を目指すことを宣言。国としてもこれに積極的に取り組むよう、各国政府に求める声は、2023年末の国連の気候変動会議COP28でも明確に示されました。
世界は今、ロシアのウクライナ侵攻やパレスチナでの戦争によって、深い悲しみと不安に見舞われています。エネルギーや食糧の問題にも広く影響を及ぼしているこの問題が、引き続き世界の憂慮すべき最大の関心事となることは間違いないでしょう。
それでも、希望が世界から失われたわけではありません。
私は、地球の環境と、次世代の未来を思い、声を上げ、行動を起こしている人たちの中に、その希望を感じています。
そして、私たちもまた、人と自然が調和する未来を目指し、努力と挑戦を続け、誰かに希望をもたらせるような、皆さまに心からの応援をしていただけるような、そうした団体でありたいと思っております。
新たに始まる2024年が、世界の人々と、野生の生きものたちに、希望をもたらしてくれる、そんな一年になりますように。
皆さまのご健勝を祈念しつつ、新年のご挨拶に代えさせていただきたいと思います。
本年もどうぞWWFをよろしくお願い申し上げます。