【COP27】首脳級会合の成果
2022/11/09
エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されている国連の気候変動会議(COP27)では、11月7日と8日の両日、100か国を超える首脳が参加する首脳級会合「ワールドリーダーズサミット」が開催されました。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は、排出量が増加し続けている現状を「気候地獄という高速道路でアクセルを踏み続けている」と表現。「解決策はわれわれの手中にある。(気候変動との闘いに)あきらめて敗北するのではなく、勝利しよう」と力強い言葉で訴えました。
各国の首脳が自国の気候変動政策を世界に発信する場だけあって、この会合ではCOP27の主要なテーマである「損失と損害」で前進がありました。
昨年、COP26の開催地であるスコットランドが世界で初めて損失と損害への資金支援を表明すると、ベルギーのワロス州が続きました。さらに、今年9月の国連総会で、国として初めてデンマークが資金支援を発表しました。
この首脳級会合では、その後に続く国が出てくるかどうかが注目されていましたが、ドイツ、オーストリア、ニュージーランドの3か国が相次いで資金支援を表明したのです。
もちろん、必要とされる金額とは大きな乖離があり、その内容は精査されなければなりません。しかし、先進国が自らの責任が問われるこの問題の議論や交渉を避けてきた歴史が大きく変わったこと象徴する演説でした。
国土の3分の1が浸水し、損失と損害への資金援助の必要性を象徴する大災害に見舞われたパキスタンのシャリフ首相が被害の惨状を訴えたように、世界中で未曾有の気候災害が頻発するようになりました。そのため、被害への資金援助を求める途上国の声は大きくなり、先進国も現実に向き合わざるを得なくなっていることが背景にあります。
気候変動交渉の歴史を変える各国の決断は、一国の首脳だからこそ可能であり、首脳級会合を開催する目的もまたそこにあります。
COP27では、政治のリーダーだけでなく、非国家アクターと呼ばれる自治体、企業、金融機関などのリーダーが参加して、それぞれの分野で脱炭素を先導するさまざまなイベントも予定され、脱炭素化への機運を醸成しています。
COPは今、さまざまな分野のさまざまなレベルのリーダーが、リーダーならではの責任と決断を世界に発信する祭典の場として、大きく変化しています。
WWFでは、会議の成功をめざして2週間の会期中にさまざまな活動を行います。今後の発信にぜひ関心をお寄せください。
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