【COP26】パリ協定めざす2度目標が視野に?
2021/11/11
イギリスで開催されている、国連の気候変動会議COP26で、初めてパリ協定が掲げる「2度目標」の達成への希望が見えてきました。
しかし、その達成は世界各国の2030年までの具体的な実現策が伴わない限り達成不可能であることが改めて示されました。
パリ協定は、今世紀末までの世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2度より十分低く保ち、1.5度に抑える努力を追求するという長期目標を掲げています。
しかし、COP26が開幕前には、各国がパリ協定に提出した削減目標では、気温上昇は2.7度になると試算されていました。
ところが、CO26開幕と同時に開催された首脳級会合で、インド、タイ、ベトナムなどの途上国がネットゼロを宣言したほか、100か国以上が強い温室効果をもつメタンの削減に合意。
これによって初めて、世界の平均気温の上昇が1.8度まで抑えられる可能性が出てきたのです!気温上昇の予測が2度を下回るのは初めてのことです。
1週目の11月4日、IEA(国際エネルギー機関)は、COP26の冒頭で発表された各国の削減目標の引き上げを足し合わせると、世界の平均気温の上昇が1.8度に抑制できるとの試算を発表しました。
オーストラリアの研究機関であるClimate ResourceやUNEPも同じ試算結果を示し、さらに11月9日には、独立系研究機関であるクライメート・アクション・トラッカーが記者会見を行ない、IEAと同様に、気温上昇が1.8度に抑えられると発表しました。
しかし、この予測は楽観的シナリオと名付けられています。
なぜならば各国の口約束も入れた目標や長期目表を合わせれば1.8度に抑えられるものの、その実現は2030年までの取り組み次第であり、各国が2030年までに対策を強化しなければ、気温上昇は2.4度に上がると警告されているためです。
1.8度と2.4度の気温上昇には大きなギャップがあります。そのため、研究を率いるニコラス・ホーン教授は、次のように総括しました。
「2050年までの長期目標はリップサービスで言える。だが、本当で気候変動を解決する意思があるなら、2030年までの具体的な取り組みを示す必要がある」
COP26は終盤に入りました。
世界に希望を示すためには、各国が削減目標をリップサービスで終わらせることなく、具体的な政策を策定し、着実に実行することが求められています。
関連情報
- Climate Action Tracker: Glasgow’s 2030 credibility gap: net zero’s lip service to climate action
- Climate Resource: Briefing Paper 1.9 degrees: New COP26 pledges bring projected warming to below 2 degrees for the first time in history.
- COP26・世界の脱炭素化は加速できるか!?
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