鉄は熱いうちに打て!これが再エネ電力の大量導入に役立つ![東京製鐵×九州電力 前編]
2020/07/02
鉄を作る過程が、再生可能エネルギーの大量導入に役立っています。「ん?鉄と再生可能エネルギーってどんな関係?」と思われるかもしれませんが、パリ協定時代の新しい仕事は、今までにない発想から産まれるものなんです!
太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、大気を温める二酸化炭素や大気汚染物質を出さない環境にやさしいエネルギーなので、地球温暖化を抑えるパリ協定時代の主役のエネルギーです。石炭やガスなどの化石燃料から再生可能エネルギーへとシフトさせていくことが最も重要な温暖化対策です!
しかし問題は、天気に左右されて、発電量が変動すること。特に再生可能エネルギーが大量に導入されるときに課題となるのが、電気の需要を上回る量を太陽光などが発電する時です。電気は需要と供給を一致させないと停電してしまうので、天気の良い時に太陽光が需要を上回って発電すると、せっかくの太陽光発電を抑制しなければなりません。実際に太陽光発電が多く導入されている九州や四国では、それが現実の課題となってきています。
そこで救世主として登場したのが、製鉄の工場!製鉄には大きく分けて二つの手法があるのですが、そのうちの一つ、スクラップ鉄を回収してそれを電気の炉(電炉)で溶かして鉄を再利用する、という循環型の手法が、今回の主役です。電炉で溶かして作るため、大量の電気が必要で、これまでは電気代の安い夜間や休日に工場を稼働させていました。
そこへ太陽光からの発電量が需要を上回って困っている九州電力の営業マンが、話を持ち掛けたのです。「昼間にも電炉を動かすことによって余った電気を使いませんか?」電炉大手の東京製鐵がその提案に乗って、余った昼間の太陽光を使うことになりました。東京製鐵にとって平日昼間も電炉を動かせれば、エネルギー効率を大幅に改善でき、また、製品を多く作ることができるので、双方ともウィンウィンです!
しかもこの過程は、スクラップ鉄を溶かす上行程と、製品にする下工程の二つからなっているのですが、これまでは平日夜間にしか動かせなかった上工程の電炉を昼間も使えるようになったので、溶かした鉄を冷やす事なく製品にできるようになったのです。文字通り「鉄は熱いうちに打て」!
これらを実現したのが、電力会社の営業マンというのもポイント!普段から顧客と対話している営業部門だからこそできた発想と提案なのですね!パリ協定時代の担い手は多彩な顔触れです!
九州電力と東京製鐵を取材してきましたので、ぜひご覧ください。