国内希少種の指定を提案しました
2019/03/20
日本の絶滅のおそれのある野生動植物を守る法律として「種の保存法」があります。
「種の保存法」では、日本に生息・生育する絶滅のおそれのある野生動植物種を「国内希少野生動植物種(国内希少種)」に指定し、捕獲や譲渡を禁止しています。
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世界で、京都と岡山の数か所でしか生息が確認されていない淡水魚アユモドキ。すでに「国内希少野生動植物種」に指定されている、絶滅寸前の危機にある魚の一種です。
この法律はこれまで何度か改正されてきましたが、前回の法改正で、私たちの働きかけにより、「市民からこの種を「国内希少種」に指定して下さい!」という提案ができる、新しい制度が法律で定められました。
この指定提案制度のモデルとなったのは、京都府が自治体として定めていた「京都府絶滅のおそれのある野生生物の保全に関する条例」です。この制定には、私も協力させてもらいましたが、国内では先進的な野生生物保護の取り組みと言える内容でした。
それが今回、国全体で実現することになりました。
市民からの提案の受付が行なわれたのは、1月10日から2月28日まで。
私たちWWFジャパンとしても、水田や水路の自然を守る取り組みの中で、絶滅の危機が明らかになっている淡水魚などを中心に、1種を国内希少種、9種を「特定第二種国内希少野生動植物種」に指定する提案を行ないました。
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水田・水路の自然を守るプロジェクトを行なっている、九州北西部の水田。絶滅が心配される日本産魚類が何種も確認されています。
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魚類調査の様子。ウェットスーツを着込んで、水路を潜ることもあります。
今回の提案は、同じく前回の法改正の際に、私たちの働きかけで設置されることになった「希少野生動植物種専門家科学委員会(科学委員会)」で審議され、指定すべきかどうかが決まります。
私たちが野生生物の保護に取り組む現場は、野外のフィールドだけではありません。
今回のような取り組みも、国全体の野生生物の保全にかかわる大事な活動として、挑戦を続けたいと思います。(自然保護室 草刈)