オオサンショウウオの日:爬虫両生類の取引を見直そう
2024/09/09
今日、9月9日は、京都水族館の提唱で定められたオオサンショウウオの日です。
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オオサンショウウオ(Andrias japonicus)は、世界最大級のサンショウウオで、体長1mに及ぶ個体もいます。日本の固有種で在来種では、唯一のオオサンショウウオ科に属する両生類です。国の特別天然記念物に指定され、保護されているはずですが、近年は海外から持ち込まれ、遺棄されたサンショウウオとの交雑が進んでしまっています。
成長すると体長1mにも及ぶオオサンショウウオの他に日本には、51種※の小型のサンショウウオが生息しています。その多くが今、河川改修など生息地の減少・劣化や過剰な採取によって、絶滅の危機にあります。保護のため、2022年には26種の商業取引が禁止されました。
※日本産爬虫両生類標準和名リスト(2024年3月11日版)による
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カスミサンショウウオ(Hynobius nebulosus)とその卵。「種の保存法」で特定第二種国内希少野生動植物種に指定されていて、販売などを目的とした捕獲や譲渡は禁止されています。
8月、両生類・爬虫類の取引の問題を考えるシンポジウムが、マレーシア・クチンでの第10回世界爬虫両生類学学術大会において開催され、世界各地から研究者やNGOメンバーが集まりました。
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シンポジウムの基調講演の様子
私も、このシンポジウムに参加し、日本の爬虫類取引について紹介しました。
発表中、特に会場の反応が大きかったのは、爬虫類と触れ合える施設の写真を見せた時でした。
多くの人にとって、サルモネラという細菌への感染リスクの高い小さな子どもが爬虫類に触れ、しかも同じ場所で飲食することもあるというのはかなりの驚きだったようです。
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親子向けのイベント・施設情報サイトに掲載されている爬虫類カフェの写真。米国では、感染症予防の観点から「小児のいる家庭での爬虫類の飼育は避けるべき」との勧告が、保険福祉省から出されています。
出展: https://iko-yo.net/facilities/171204
シンポジウムでは、爬虫両生類の取引に関する14の発表があり、世界各地で多様な種が、多様な目的で利用されている実情と過剰・違法な利用が爬虫両生類の存続を脅かしていることが示されました。
例えば、フィリピンの研究者は、動物園目的という輸入の名目が不適切に使われていることを、インドの保全活動家は、食肉用のカメの違法取引の報告を行ないました。
日本での爬虫両生類は、主にペット・鑑賞で利用されています。
こうした利用が野生個体群に悪影響を及ぼすことのないよう、そして人々の健康を害することのないよう、取引の改善を行なうべく事業や規制の見直しの働きかけをおこなっています。