自環法(じかんほう)の一部が改正される
2019/04/01
「自環法って何だ?」と、思われた方も多いと思います。
これは自然環境保全法。
1993年に環境基本法が施行するまで、日本の自然を保全する基本の法律として機能していた法律です。
古い話になりますが、日本の環境問題の始まりは公害問題からでした。
水俣病やイタイイタイ病などが社会問題化した時、公害対策の基本法として1967年に公害対策基本法が制定。
その後、公害問題を含む環境行政を管轄する環境庁が1971年に発足しました。
そして翌年、自然環境の保全を目的とした、自環法が制定されたのです。
自環法の主な内容は次の4つです。
- 自然環境保全基礎調査の実施
- 自然環境保全基本方針の策定
- 原生自然環境保全地域の指定や規制
- 自然環境保全地域の指定や規制 など。
この自環法が、今年の国会で一部改正されます。
主な目的は、新たな海洋保護区を設立する、沖合海底自然環境保全地域制度の創設。
生物多様性条約第10回締約国会議で合意された「愛知目標」で、各国は海域の10%を海洋保護区とすることを約束しましたが、現状の日本の海洋保護区は8.3%。目標達成に届いていません。
ここを頑張ろう、ということです。
この新しい制度により、海山や熱水噴出域、海溝など、特異な地形や生態系、生物資源がある沖合域の「海底」が、海洋保護区に指定できるようになることは、意義のあることです。
しかし一方で、自然の豊かさがすでに知られている、干潟や海岸、サンゴ礁などの沿岸域が、十分に保護区に指定されていない現状もあります。
また「海のレッドリスト」も、科学的な調査が不十分。課題はまだまだ山積です。
3~5年後の同法の見直しに向け、国会議員に対する働きかけを続けたいと思います。
(自然保護室 草刈)