©Richard Barrett WWF-UK

気候変動・エネルギー問題を議論する!中高校生向けワークショップ「選ぶ!私たちの未来とエネルギー」【情報・資料の提供ページ】


どんなワークショップ?

気候変動問題の解決の鍵は、“エネルギーの選択”にあります。このワークショップでは、日本のあるべきエネルギーミックスをテーマに、学校や学年の枠を超えて参加者が議論します。

前半では、気候変動・エネルギー問題とその対策に向けた国際的な動きなどをWWFの専門家から学び、後半では、参加者同士がグループを組んでディスカッションを交わす、交渉疑似体験型のワークショップです。

WWFジャパンが、2019年より主催してきたこのワークショップについて、学校などでも自主開催できるようにするため、本ページで必要な教材・資料を公開しています。

将来世代にとって目を背けることが出来ない気候変動問題(地球温暖化問題)。この問題を理解し解決策を考える力を養うことは、学生にとっていまや重要なリテラシーの1つです。多くの教育関係者の皆様にご活用いただけることを願っています。

ワークショップ紹介動画

これまでの開催報告

これまでWWFジャパンが主催したワークショップには、2021年末までに計8回、延べ約300名の学生にご参加いただきました。さらに本ワークショップは学校の課外授業としてもSGH校などで実施いただいております。

ご活用の場面

このワークショップは、前半のレクチャー、後半のディスカッションを合わせて約2時間半の構成となっています。前半・後半を分けて別日に実施する、あるいは前半を予習として、後半のみ授業にするなど自由にアレンジが可能です。主な活用場面は以下ですが、これらに限定されません。

  • 学校の課外授業
  • 環境系イベントでのプログラム
  • 学生サークル等

自主開催の事例

2022年8月海城中学(東京都)1年生84名:夏期講習の一環として開催

ワークショップ参加者の感想を一部ご紹介します。

  • 今回交渉を体験して、なかなか妥協点が見い出せず合意することができなかった。改めて話し合いで合意することの難しさを実感出来た。国同士ではなおさら難しい。自分なりに温暖化対策を考えるためにもっと学んでいきたい。
  • 同年代の若者が未来を変えるための運動をしていることを知った。地球温暖化について学び、どのエネルギーでどんな未来をつくりたいかを話し合うことで、自分たちの手でできることをやっていくことが大切だと思った。交渉をして合意にみちびくことは難しかったし、自分の主張が通らないことは多々あったけど楽しかったのでまたやりたい。
  • 地球温暖化を止めるにはCO2を削減すれば良いと簡単に考えていたが、実際はコストや経済面、安全性なども考えなくてはいけないことを知り、改めてこの問題の難しさを知った。地球は人間だけのものではないのにも関わらず、好きかってに行動したことは人類の連帯責任だから、対策を他人事と思わず自分がやれる範囲でやっていこうと思う。
  • 様々なエネルギーの長所や短所について学んだり、エネルギーミックスについて考えたりしていくうちに、地球温暖化について今までよりも深く考えるようになった。自分でできる対策を考え、実行するとともに、社会全体で地球温暖化対策に取り組んでいけるような社会を作っていくことが大事だと思った。
  • 他の人と議論をした時、様々な考え方があり、自分と考え方が似ている人でも考え方が微妙に違っていて面白いと思った。これからもこのワークショップのように、考え方の違う人とも積極的に議論をして、地球温暖化などの問題について考えていきたい。

実施した先生の感想です。

生徒達は「地球温暖化」という言葉は知っており、その原因が二酸化炭素によるものであることや温暖化が進むと災害が起きやすいといったことは知っている様子だったが、パリ協定や電力バランスなど、本質的な部分については初めて知ったようで、新たな学びが得られたようだ。今回のワークショップでは、まず書籍や動画で知識を学び、その知識を活用して自分の考えを述べたり、相手の考えを聞いたりする体験は、知識の定着はもちろんのこと自分の考えをまとめる良い機会になった。その一方で、合意形成の難しさについても学べたようだ。

地球温暖化について国際的な取り組むが続いている中で、その重要性やエネルギーバランスを考えることができたのは良い経験になったと思う。それぞれの発電方法には利点、欠点があり、どれか一つのエネルギーに依存することの難しさについても学ぶことができた。こうした課題の解決に向けた新たな技術や社会システムの構築に取り組んだり、日々の生活の中で脱炭素に向けた生活を自然と選択する生徒が出てくれたら嬉しい。

2023年1月洛星中学(京都府)2年生222名:総合学習の一環として開催

ワークショップ参加者の感想を一部ご紹介します。

  • どのエネルギーもメリットとデメリットがあり、これさえ使っていればいいというエネルギーが無いので考えることが大変だった。自分と同じ意見もあれば、異なる意見もあり、面白かった。
  • 各エネルギーの長所・短所や、現在の日本の発電状況を知った。こうした問題に僕たちは必然的にかかわっている。僕たちが大人になる頃の日本の未来を決めるのは、まさに今の僕たちだ。その時に後悔しないために、SDGs に基づいた行動を少しずつでもすることが大事だ。
  • 発電方法を変えていくことは重要だが難しい。しかし、自分が使う電気を減らすことは可能であり、そうすれば必要な発電分も減らせるはずだ。まずは自分にできる簡単な対策をしていきたい。

実施した先生の感想です。

学年全体で取り組むにあたり,能動的な学習と議論ができるかどうか心配な面もあったが,こちらが予想した以上に生徒たちの取り組む姿勢はよかった。多くの生徒が,地球温暖化抑制は自分たちが取り組むべき課題だという意識を強くもっていることを改めて実感した。

2023年7月甲南中学校(兵庫県)3年生88名:環境系のワークショップとして実施

ワークショップ参加者の感想を一部ご紹介します。

  • 再生可能エネルギーを全てのエネルギー源にするのはまだ時間がかかると思うので、自分たちでできるre-gift, refuse,recycleなどの8Rを心がけたいと思いました。
  • 産業革命以降の平均気温のグラフを見て自分が思っていたより上がっていて驚いた。RCP8.5 になってしまうと気温が4度も上がることが分かった。温暖化を止めるためには省エネと脱炭素が必要であることが分かり、自分もエアコンの設定温度を控え目にするなどしていきたい。また、太陽光発電、風力発電、天然ガス、石炭、石油、原子力のメリットとデメリットを知ることができた。それぞれのエネルギーのデメリットを他のエネルギーのメリットで補ったりするなどして、割合を考えていかなければならない。
  • 環境問題に詳しく学べ、今後の生活に活かしたい。またグループで話し合い、考える視野が広がった。
  • 今回の話し合いで再生可能エネルギーが今後ますます大事になってくると思いました。僕たちが現在できることは少ししかないかもしれないが、エアコンの温度を低くし過ぎないなどの小さな行動が大きな力になるんだろうということを感じた。
  • 環境問題を解決するために一人一人が意識して小さなことでもちょっとずつやっていく必要があることを改めて感じた。
  • グループワークでみんなの考えを聞きながら、エネルギー政策について考えることは非常に面白く、興味深かった。また今まで知らなかったことを知れたり、今まで考えたこともなかったことを考えることができ楽しい時間でした。

実施した先生の感想です。

中学3年生対象に行ったので、少し難しいかもしれないと思いましたが、生徒たちはよく考えながら2030年の日本のエネルギー政策について議論し、彼らなりの回答を導き出していました。また、私自身も脱炭素、省エネについて詳しく知る機会になり、授業を構築していくのが楽しかったです。高校生に実施すれば、もっと建設的な意見や政治的な意見が出ることが予測され、本校は中高一貫校ですので、機会があれば高校生にも実施したいと思いました。

ダウンロードできる資料

ワークショップの資料は以下よりダウンロード可能です。
前半のレクチャーで使用する動画2点、後半のディスカッションで活用するワークシート、ならびに教員向けのインストラクションガイドと投影用のスライドをご用意しています。またこれにくわえて、ワークショップにあたり事前学習を行う場合の予習シートもご用意しております。予習シートは、書籍「地球温暖化を解決したい~エネルギーをどう選ぶ」を読んだ上で記入するもので、ワークショップ実施者にはこの書籍を無償で配布いたします(お問い合わせ下さい)。

【予習用】

【前半用】

【後半用】

(※)なお動画については、2021年作成時のもののため、以下にご留意ください

(注1)動画2(4:38)では、石油の割合を3%としていますが、2019年時点では約6%となっており(以下URL)、また石油以外のエネルギー源についてもその割合には年次変動があります。必要に応じて最新の数値をご確認ください。
https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2021/pdf/2_1.pdf

(注2)動画2(7:58, 16:35)では現在の原発数を54基としていますが、廃止決定などにより数値は変化します。最新の基数は、原子力規制委員会のHP等で確認ください(以下URL)
https://www.nsr.go.jp/jimusho/unten_jokyo.html

(注3)動画2(17:05)で示す発電コストの数値(及び図)は、以前(2014年)の国の分析結果です。最新のコストが発表されているので(2021年)、以下をご覧ください。
経産省:2030年度におけるエネルギー需給の見通し(以下URLのp81、82)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/pdf/20211022_03.pdf

今後の開催予定

本ページでは、学校などでのワークショップの自主開催を推奨すべく資料公開をしていますが、これとは別に、WWFジャパンでは定期的に本ワークショップを主催しております。
(ただしWWF主催のワークショップは回数・人数が限定されますので、各校での自主開催を推奨いたします)

開催予定は、イベント案内をご覧ください。https://www.wwf.or.jp/event/

ワークショップ(書籍)に関するお問合せ

ワークショップの資料に関すること、書籍の要望については以下よりご連絡下さい。
多くのみなさまからの御連絡をお待ちしております。
climatechange@wwf.or.jp

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