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【動画あり】気候変動・エネルギー問題を議論する!高校生ワークショップを開催

この記事のポイント
WWFジャパンでは、次世代を担う高校生を対象に、気候変動とエネルギー問題を議論する特別ワークショップ「選ぶ!私たちの未来とエネルギー」を開催しました。2019年12月、2020年1月に東京および鳥取で開催したこのワークショップ(計3回)には、合計84人が参加。気候変動問題を左右する、“エネルギーの選択”に焦点をあて、日本のあるべきエネルギーミックスをテーマに、学校や学年の枠を超えて参加者で白熱した議論が行われました。

【動画】気候変動・エネルギー問題を議論する!高校生ワークショップを開催

気候変動問題の教育が必要な時代に

高まる若者の気候変動問題への関心

2019年9月、国連総会期間中に世界で約760万人が参加をし、過去に例をみない規模となったグローバル気候マーチ(*1)。

若者を中心とした参加者が訴えていたのは、“気候変動問題への取組み”でした。

2019年9月、ニューヨークでの国連気候サミット直前に行われたグローバル気候マーチ
©WWFジャパン

2019年9月、ニューヨークでの国連気候サミット直前に行われたグローバル気候マーチ

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による報告書では、人類の対策が遅れた場合、これから最大で約4℃の気温上昇が起きると指摘されています(*2)。

深刻化する気候変動は、洪水や干ばつ、それにともなう食料問題ひいては紛争への発展など、社会に大きな影響を与えることが懸念されています。

まさに、これからその環境に直面するかもしれない将来世代にとっては、看過できない問題であり、いま大きな関心が寄せられています。

気候変動問題を学ぶ機会を

日本においても若者の関心が高まる一方、日本ではまだ気候変動問題について深く学ぶ教育機会は多くはありません。

それは、国の選挙制度が変わり、18歳から投票権を持ち、国の政策を問う立場に早ければなる、高校生もその例外ではありません。

自身に深く関わる気候変動問題の基礎知識をつけることはもちろん、問題に関心を持ち発言ができるように、“我が事化”することが重要です。

気候変動は、生態系をはじめ社会環境に影響を与え、将来世代の生存基盤を脅かす恐れも。
© Global Warming Images / WWF

気候変動は、生態系をはじめ社会環境に影響を与え、将来世代の生存基盤を脅かす恐れも。

そこでWWFジャパンでは、高校生を対象に、気候変動問題を学び・議論する特別ワークショップを企画。2019年12月~2020年1月にかけて、東京都内、鳥取県内で計3回実施しました。

問題を学び・議論する

気候変動問題はエネルギーの問題

計84名が参加したこのワークショップでは、気候変動問題の基礎知識を得るための「レクチャーパート」にくわえ、“エネルギー”に焦点をあて、参加者自身が考えをまとめ・議論する「交渉体験パート」を設けました。

気候変動問題は、社会が使う電気や熱などのエネルギーを作る過程で発生する、二酸化炭素(CO2)が主な原因の1つとされています。

とりわけ、最も大きな排出源は、電気を作る発電所であり、日本の二酸化炭素排出量全体の約4割にも達します(*3)。

普段何気なく使う電気も、元を辿れば、作られ方によって、環境負荷や経済性、安全性などは異なる
© Global Warming Images / WWF

普段何気なく使う電気も、元を辿れば、作られ方によって、環境負荷や経済性、安全性などは異なる

石炭や天然ガスなどの化石燃料か、あるいは太陽光や風力など再生可能エネルギーか、はたまたウランによる原子力か。どのような資源を選択して社会に必要なエネルギー(電気)を作るかが、気候変動問題解決の鍵となります。

参加した学生は、二酸化炭素の排出など環境面だけでなく、コストなど経済性や、安全性、それに国産か輸入かなど、多面的に検討し、自身の考えをまとめていきました。

学生が考えるエネルギーミックス

ワークショップは約3時間。決して短くはないプログラムにも関わらず、最後まで学生の議論は白熱しました。

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前半パートでは、WWF専門家の講師から、気候変動問題の現状、その解決を巡る国際情勢にくわえ、エネルギー資源についてのレクチャーを実施。化石燃料や再生可能エネルギーなど、各エネルギーのメリット・デメリットなど特徴を説明することで、続く交渉体験パートで議論が出来るよう準備。

WWFの気候変動・エネルギー専門家によるレクチャー
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WWFの気候変動・エネルギー専門家によるレクチャー

後半の交渉体験パートでは、参加者一人ひとりが考える“エネルギーミックス”を具体的な数字にまとめます。日本政府が発表している2030年のエネルギーミックスを参照しつつ、日本に必要なエネルギーをどのような資源で、どのような割合で作るのかを各人で決めます。次に、似た意見同士でグループを編成。まずはグループでの数字を1つにまとめた上で、続く時間で意見の異なる他のグループとの交渉を実施。目指すべきエネルギーミックスの合意に向けて議論を行いました。

東京でのプログラム
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東京でのプログラム

議論では、統計などエビデンスをベースに、参加者が準備をした意見を発表。足りないデータは、限られた時間のなかで、各自がスマホやタブレットを使って探し出し、即座に議論に活かす活発的なシーンも見られました。

“予想以上に面白かった!”ワークショップの声

都内で2回行ったワークショップには、異なる高校から計65名が、鳥取県立鳥取西高校での開催では19名が、学年を越えて参加しました。

鳥取でのプログラム
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鳥取でのプログラム

はじめて会う、年齢差のある参加者同士にも関わらず、熱心に意見を交わし議論をする参加者からは、“硬いテーマだと思ったけれど、予想以上に面白かった!”、“知っているつもりでいたが、他の人の意見を聞くことで考えが変わった”との意見が多く聞かれました。

国内では、気候変動問題に関して深く学ぶ機会はもちろん、エネルギーの在り方について、自分の言葉で語る機会は大人でも多くはありません。

WWFジャパンでは、今後もこういったワークショップや教材などを提供し、次世代の若者が気候変動問題などグローバル社会課題を“我が事”として捉え、将来社会を自分たちで選択できる力を培えるよう応援していきます。

(※)なお、本プログラムは上田記念財団の御支援を受けて、実施を致しました。

日時:2019年12月22日(@東京)、2020年1月12日(@東京)、2020年1月28日(@鳥取)
参加者数:それぞれ、32名、33名、19名
主催 :WWFジャパン

(*1) https://ja.globalclimatestrike.net/wrapup/
(*2) https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/1028.html
(*3) https://www.jccca.org/chart/chart04_04.html

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