ゴーストギア発生予防対策・地域プロジェクト
2022/05/30
- この記事のポイント
- 漁業由来の海洋プラスチックごみ「ゴーストギア」。この海に流出した漁網やロープ、釣り糸などプラスチック製の漁具が、ウミガメや海鳥など海洋生物に深刻な被害を与えていることから、WWFジャパンは「漁具流出の予防、被害の軽減、回収による環境の回復」の必要性を訴えてきました。そして、2021年7月、「ゴーストギア」予防策の一つとして、水産都市の行政と協働し、漁業者の使用済み漁網の回収・リサイクル事業を通じ、漁業者による漁具の適正な管理を促す取り組みをはじめました。
ゴーストギアの海洋への流出を防ぐために
海洋プラスチック汚染は、急速に悪化している国際的な環境問題の一つです。
なかでも、野生生物に深刻な影響を与えているのが「ゴーストギア」と呼ばれる、海に流出した漁網やロープ、釣り糸などの漁具です。
WWFジャパンはゴーストギアの流出を予防し、流失してしまってもその影響を軽減するする取り組みとして、「ゴーストギア発生予防・漁具の未来、地域プロジェクト」を推進しています。
このプロジェクトは、役目が終わったプラスチック製の漁具を回収・リサイクルし、製品化して販売することで、各地域でこうした取り組みを確立し、全国的に展開していくことを目指すものです。
また、そのために、漁業者、自治体、企業など、さまざまなステークホルダーが協力し、活動に参画する点が、大きな特徴です。
【概要】ゴーストギア発生予防・漁具の未来、地域プロジェクト
ゴーストギアとは
毎年、海洋に流出しているプラスチックは、推定で1,100万トンと言われています。*1)
なかでもウミガメや海鳥といった生物に深刻な被害を与えているのが、漁業に由来する「ゴーストギア」。
そのほとんどは、プラスチックでできており、年間50万~115万トンもの漁具が、海洋に流出していると推定されています。*2)
ゴーストギアによる影響
海洋ごみによって、海洋哺乳類の66%の種、海鳥の50%の種、そしてウミガメの全種が被害を受けています。*3)
1)海洋生物へのダメージ
- 漁網、ロープ、仕掛けなどに捕まったり、絡まったりすることで海洋生物が死傷
- 発泡スチロール製漁具の破片など浮遊プラスチック誤食、誤飲、マイクロプラスチックの摂取
2)海洋生態系へのダメージ
- 漁網の覆い被さりによるサンゴや海藻群落などへの悪影響
- プラスチックに含まれる化学物質による生物・水質の汚染
3)社会・経済的ダメージ
- 本来得られるべき漁獲の減少
- 船との衝突やスクリュー巻込みなど船舶の航行阻害
- 景観の悪化による観光業への影響
ゴーストギアが及ぼす悪影響は、海洋生物や、海洋生態系だけにとどまりません。
漁業者にとっても漁獲の減少を引き起こすなど、社会・経済面でもさまざまな問題を引き起こしています。*4)
ゴーストギア問題への対策
このゴーストギア問題に対し、WWFも参加する、GGGI(Global Ghost Gear Initiative:ゴーストギア問題の解決推進に取り組んでいる分野横断的なグローバル組織)では、次の3つの対策の必要性を指摘しています。
- 漁具流出の予防策:ゴーストギアの発生を未然に防ぐための管理等の改善
- 被害の軽減策:ゴーストギアが分解または漁獲機能を失うような漁具の改良
- 回収による環境回復:流出してしまった漁具を回収し、海洋環境を回復する
この3つ中でも、最も重要かつ最優先とされるのは、予防措置にあたる最初の「漁具流出を防ぐこと」です。
ゴーストギアはどうすれば予防できる?
ゴーストギアの発生予防策には、すでに国際的にもさまざまな対策や取り組みが始まっています。
具体的には、次のような機関による文献に、主要な対策が記載されています。
・ GGGI:Best Practice Framework *5)
・ FAO(国連食糧農業機関):Voluntary Guidelines on The Marking of Fishing Gear*6)
・ 水産庁:漁業系廃棄物計画的処理推進指針*7)
・ 環境省:漁業系廃棄物処理ガイドライン*8) など
また、持続可能な漁業の国際認証「MSC(Marine Stewardship Council:海洋管理協議会)」でも、漁業認証規格を改定する中で、ゴーストギアの管理方策を設定し、すべての認証漁業を対象に、漁具の流出や、流出した漁具の影響を最低限に抑えることを求めるとしています。*9)
いずれの予防対策の方針においても、重視されているのは、漁業者のゴーストギアや規制に対する理解や、漁具の管理・点検の徹底、適切な保管や処分、またこれらを促進するための規制やルールの策定などです。
このように、漁業の現場においても、ゴーストギアは重要な問題として認識され始めており、今後こうした動きはさらに強まっていくと考えられます。
日本におけるゴーストギアの問題
水産業が盛んな日本においても、沿岸漁業におけるゴーストギアの問題は、今後深刻な課題となってきます。
その対策で、特に重要なカギとなるのは、漁具を海の現場で扱っている漁業者の方々の認識と取り組みです。
実際に漁業者に求められる取り組みとしては、次のようなものがあります。
【海上】
・ 操業前後の漁具の点検、船上での漁具の保管
・ 悪天候前の漁具の移動
・ 密集した水域や漁具種が混在した水域での操業回避
・ 漁具の所有者を識別するマーキング
・ 万が一流出してしまった時の報告
【陸上】
・ 漁具のメンテナンス
・ 漁期や漁法ごとの漁具の整理保管、岸壁や護岸への放置禁止
・ 役目が終わった漁具の、産業廃棄物としての処理 など
しかし、こうした取り組みを現場で適切に行なっていくためには、さまざまな困難や苦労、また政策や規制の不備があり、全国的にはまだ対策が進んでいないのが現状です。
すでに、漂着ごみや海中のプラスチックごみを、海岸清掃や漁協との協力を通じて回収したり、陸から海へのプラスチックごみの流出を防止するなど、先駆的な取り組みを行なっている自治体も多数あります。
しかし、ゴーストギアを、地元の漁業に直接かかわる問題として認識し、対策を行なっている自治体は多くはありません。
日本の漁具の廃棄に関連する課題
特に、廃棄される漁網などの処分は、深刻な課題です。
水産庁の「漁業系廃棄物計画的処理推進指針」では、プラスチック製の網などの漁具を廃棄する場合、「事業者たる漁業者が主体」となり、自費で産業廃棄物として処分することになっていますが、これが漁業者にとって、大きな負担となっています。
廃棄する漁具の量や地域にもよりますが、処分にかかる産廃費用は、数十万円から数百万円。それ以上になることも。
対応には、いずれ廃棄することを見込んで、費用を積み立てておく必要があります。
漁協によってはそのための費用を組合員で積み立て「集団的処理」を行なっているところもありますが、個人経営体が96%を占める日本の沿岸漁業*10)では、こうした対応をあらかじめ計画していないケースがほとんどです。
結果的に、廃棄された漁具がなかなか処分されないまま、海岸などに放置され、それが荒天時に海に流出したり、洋上で意図的に投棄されてしまう例もあるといわれています。
重要性が高まっている漁具のリサイクル
日本の沿岸漁業によって生じている、ゴーストギア問題の解決には、漁業者の認識、自治体のこの「処分」をどう改善していくかが、大きなカギとなります。
漁業者の負担の軽減を実現する手立てを考えながら、役目が終わった漁網を「ごみ」ではなく、資源として再利用するリサイクルを、促進していく必要があります。
また日本政府は「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロ」にすることを表明していますが、これを前提に考えるならば、バージンプラスチック(石油などから新たにつくられるプラスチック原料)を使用した、新しいプラスチック製品製造は、いずれ難しくなるかもしれません。
これは、漁具メーカーやその原材料メーカーにも、EPR(拡大製造者責任)の観点から、資源循環、すなわち、生産から廃棄時の回収までを視野に入れた、持続可能な漁具の製造が求められるようになることを意味しています。
実際に、漁網を回収してリサイクルするという事業は、国内外で既に着手されています。
WWFが関与している事例では、WWFペルーがブレオ社と刺し網の回収事業を展開*11)。WWFオーストラリアもVisionDirect社と協力し廃棄された刺し網をリサイクルし、サングラスにアップサイクルする事業を展開しています*12)。
また海外のアクアフィル社*13)や日本のリファインバース社も、ナイロン製の漁網の回収リサイクル事業を展開*14。帝人株式会社は自社が販売したまき網を、廃棄時に回収するビジネスを始めるとの報道もあります。*15)
プラスチック資源循環を前提にした、漁具の設計から、製造、流通、回収、利用まで。
そのサプライチェーンとライフサイクル全体を視野に入れた、リサイクルの促進は、今後のゴーストギア問題への対策のみならず、漁業や漁具をめぐるさまざまな業種、ビジネスの将来にかかわる、重要なテーマとなってきます。
ゴーストギアに関するWWFジャパンの取り組み
WWFジャパンは「ゴーストギア発生予防・漁具の未来、地域プロジェクト」の中で、プラスチックをめぐる国際的な潮流と、流出予防の原則をふまえながら、日本の沿岸領域でのゴーストギア発生予防を目指しています。
この取り組みでは、漁業者や自治体の協力のもと、使用済みの漁網を回収し、プラスチックのリサイクルを手掛けるテラサイクル社*16)と提携して、それをリサイクルし製品化する「仕組み」の構築を目指しています。
さまざまな立場のステークホルダーが関係、協力しながら、回収した使用済み漁網はリサイクルし、新たな製品の製造・販売を事業化していくことが、その目標。
最終的には、WWFジャパンのコーディネートが無くても、このサイクルが定着し、自主的な運営が継続されることが、ゴールです。
参画するステークホルダーとその協働内容
このプロジェクトで連携、協働するステークホルダーは、最も重要な関係者である漁業者、漁業協同組合、自治体をはじめ、リサイクル企業、協賛メーカーなど、多岐にわたります。
プロジェクトにおけるそれぞれの役割と重要性は、次の通りです。
●漁業者・漁業協同組合
海洋プラスチックごみ問題と、漁業者が関わっているゴーストギア問題は、漁業者の生活の基盤である海で起こっている問題です。
解決していくためには、実際に漁具を扱っている漁業者の方々の参加と協力が欠かせません。
このプロジェクトでは、使用済みの漁具をリサイクルし、製品化・販売することで、全体のプロジェクト・コストをまかない、それによって漁業者がこれまで自費で処分していた漁網を無償で回収できる仕組みづくりを目指していますが、これは簡単にできる事ではありません。
まず、長年使われた漁具には、さまざまな汚れが付着しているため、リサイクルに使うには、これを洗浄しなければなりません。
また、漁具は、さまざまなプラスチック部品が組み合わされて作られているため、やはりリサイクルするためには、分解し、ポリエステル、ナイロンなど、素材ごとに分類する必要があります。
こうした手間を、漁業者の方々には引き受けていただく必要があります。
漁業協同組合(漁協)は、組合員である漁業者に漁具を港や岸壁に放置しないよう注意喚起したり、漁業者が、こうしたプロジェクトで必要な作業に、積極的に取り組むよう、働きかけ主導する役割を担っています。
また、漁業者へのプロジェクトへの参加を呼びかけ、組合員がゴーストギア問題への認識を深めることや、漁具管理の実践とそのメリットについて、地域向けの学習機会を設け、漁具管理を実践させることも漁協の役割です。
漁協によっては、購買担当部署などが、地元の漁業者が使用している漁具の素材、購買サイクル、組合員から出る廃棄量など、リサイクルに必要な情報を保有している場合があるため、こうした情報をプロジェクトに提供していただくこともあります。
●自治体
市町村は漁業管理主体ではありませんが、水産業を地域の主要産業として抱える市町村では、水産業の持続的な発展が地域の暮らしに直結することから、積極的な政策支援などを行なっているケースが多くあります。
そこで、このプロジェクトに関係する自治体には、地域の漁協へのプロジェクト参加の打診や調整を担っていただいています。
さらに、自治体は次の2つについても、大きな役割があります。
1)地域に対する普及・啓発
ゴーストギア発生予防の取り組みは、地道な作業でもあり、また長く続けていく必要があります。
そのためには漁業者と、漁業を支える地域の方々が、問題の本質と、取り組みの必要性を正しく理解することが必要です。
こうした、地域コミュニティ全体を対象とした、理解とモチベーションの向上を担うことも、自治体の大切な役割です。
2)自治体内部での連携の拡充と新たな取り組み
ゴーストギア問題を「漁業関係のみの問題」として捉えた場合、自治体の中でこれに関与するのは、水産担当や環境担当のみとなってしまいます。
しかし、漁業者から回収した漁網がリサイクル原料となり、域内の公園のベンチや、筆記具、オフィス家具などに生まれ変わるとすれば、同じ自治体内の都市計画にかかわる部署や調達部門ともつながりが出てきます。
また、この取り組み自体が、漁業の未来や、資源循環の取り組みといった、総合的な学習のテーマになり得ることを考えれば、教育関係の担当とも連携することが可能となるでしょう。
このような行政としての連携を通じた、地域と漁業へのサポートも、自治体に期待される大きな強みです。
●リサイクル企業
ゴーストギア対策には、漁具のサプライチェーン全体での取り組みが必要です。
特に流出の予防策を本当に機能させるためには、漁具の原材料メーカー、製網メーカーによる分別やリサイクルを容易にする漁具設計や素材開発、漁具の仕立てや流通の段階で漁具情報を盛り込んだ漁具マーキングの実装など、上流域の関与と改善が欠かせません。
しかリサイクルを前提にした漁具設計や素材開発にはかなりの時間を要します。そこで当プロジェクトでは、漁具がどのように購入され、使用され、役目を終えて処分されているのかという、今の下流域の現場からすぐに着手できる解決策として使用済み漁網のマテリアルリサイクルに取り組むこととしました。
今回、WWFジャパンでは、日本国内でもさまざまなリサイクル・リユース事業を手掛けるテラサイクルジャパン社とパートナーシップを結び、プロジェクトのもう一つの鍵であるリサイクルパートを担っていただきます。
そのステップとしては、
- 使用済み漁網の回収・運搬
- マテリアルリサイクル(素材の破砕、溶融、ペレット化)
- 生産されたペレットを協賛メーカーへ販売
このように書くと簡単に見えますが、漁網の形状や状態、使用年数のバラつき、漁網メーカーによる素材・加工の違い、複合素材の漁網や異物の混入など、リサイクルを行う対象としては大変やっかいな代物です。
そこでまずは、①刺し網などのナイロン素材、②底びき網などに使用されるポリエチレン素材に対象を絞りプロジェクトをスタートさせ、破砕方法、ペレット品質の確認、安定性などのテストを行った上で、再生されたペレットを使った製品製造をさまざまな協賛企業候補に提案しています。
テラサイクルジャパン社には、当プロジェクト以外でも海洋プラスチックごみを原料にした製品、例えばCVSのレジかごやアウトドア用のコンテナなどの製造を行っています。また、大手流通と協働したリユース容器の循環システム「LOOP」を展開するなど、「捨てるという概念を捨てよう」を掲げるイノベーション企業です。
●協賛メーカー
現時点ではまだ確定したプロジェクト協賛メーカーはございません。
WWFジャパンでは、単に漁網をマテリアルリサイクルした原料を使用した製品を製造すればいいとは考えていません。資源循環を考え、まず第一に必ずしも必要でないものを製造することはありません。またせっかくリサイクルする以上、長く使用されるものが望ましく、更には一度リサイクルされて終わりとなるのではなく、使用後は回収されてまた製品として何度もリサイクルされるものが理想的です。
欲を言えば、その地域コミュニティに還元され、役立つものに生まれ変われれば地域内での資源循環となります。
そのような、製品を製造いただける協賛メーカーを募集しております。
●WWFジャパン
WWFジャパンの役割は、プラスチックをめぐる国際的な潮流と、ゴーストギアの流出予防の原則をふまえながら、日本の沿岸領域でのゴーストギア発生予防を目指したプロジェクト構成を立案・構築するところにあります。
そして、このプロジェクトを構成するステークホルダー、漁業者、漁業協同組合、自治体、リサイクル企業、協賛メーカーなどへの働きかけを行い、プロジェクトへの参画を得、利害を調整しつつゴーストギア発生予防という目的に向けて、実稼働させること。
WWFジャパンは、各地域でこうした取り組みを確立し、全国的に展開していくことを目指しています。
しかし、これらのステークホルダーがよりよく動く為にプロジェクトの外からの後押を作ることもWWFジャパンの役割と言えます。
例えばゴーストギア問題とそれに対する漁業者の取り組みが漁業関係者間だけの話で終わらないよう、より幅広い市民の認知を得ることや、地方自治体だけでなく国レベルでの政策による対策、そしてゴーストギアがそもそも海洋で発生することを踏まえ、国を跨いだゴーストギア問題を解決する国際協定の早期成立などが挙げられます。
ゴーストギアのない未来の漁業を目指して
WWFジャパンでは、「ゴーストギア発生予防・漁具の未来、地域プロジェクト」の推進にあたり、多くの地域の漁業者の方々に直接お話をうかがい、取り組みの設計を行なってきました。
そしてその中には、次のようなことをお話しくださる方もいらっしゃいました。
- 漁具はさまざまな要因で流出してしまうことがある。でも海は十分に広いから多少は大丈夫だろうと思っていた。けれど、この地域だけでも何人もの漁師がいて、みんな何世代も前から漁師をやっている。みんながみんな「大丈夫」だと考えていたら、どのくらいの漁具が海に流れているのか。自分の代でそれを止めないとダメだと思った。
- 岸壁に野積みされている漁網は、じいさんの代からあり、見慣れてしまっていたが、台風や高潮でさらわれて流されていることも多い。それで岸壁がきれいになるのは良いと思っていたが、よく考えれば海がその分汚くなる。結局は自分たちに跳ね返ってきていることに気づいた。自分らはしっかりと管理しているが、漁業者みんなで取り組まないといかん問題だと思う。
- 漁具のリサイクルはいい考えだと思う。そのまま産廃処理に出すのではなく、使用済み漁網を洗ってまとめるのは多少手間だけれど、自分たちの使い終わった漁網が、具体的に何に生まれ変わるのかが見えると、モチベーションが高まる。
このプロジェクトは、漁具流出の予防策に重点を置き、使用済みの漁具の回収とリサイクルを通じて、ゴーストギアの発生しない、地域コミュニティとビジネスモデルの確立を目指すものです。
しかし、これはあくまでも、最初のきっかけに過ぎません。
ゴーストギアをめぐる海の問題を、日本の漁業や漁具にかかわる人たちがあらためて理解し、使用済みの漁網の処分だけでなく、管理全体を見直し、改善していくことで、「持続可能な漁業」をしっかり行なうことに繋げていくこと。
それが、本当のゴールです。
実際、このプロジェクトに参加しているのは、問題に対し理解を持ち、自主的な行動を取ろうとしている、一部の地域や自治体に限られていますが、これを「種」として、同様の取り組みは全国に広げていかねばなりません。
もちろん、地域毎に漁獲できる魚も異なれば、漁法も異なり、そこで使用される漁具も異なります。
漁具が異なれば、ゴーストギアに関する状況や問題点、解決策も異なってくるでしょう。
その点をも想定し、WWFジャパンでは、これからの日本の沿岸領域における、ゴーストギア問題の解決策や方針を、導き出したいと考えています。
気仙沼でのプロジェクト事例
プロジェクトへの参画を2022年5月に開始した、宮城県気仙沼市の事例は、以下の「地域と一緒に!漁網のみらいプロジェクト」キャンペーンサイトをご覧ください。
地域と一緒に!漁網のみらいプロジェクト
出典・参考情報
1) The Pew Charitable Trusts, Breaking the Plastic Wave, 2020
https://www.pewtrusts.org/-/media/assets/2020/07/breakingtheplasticwave_report.pdf
2) The Pew Charitable Trusts, Breaking the Plastic Wave, 2020
3) Kühn, S., Rebolledo, E. L. B., & van Franeker, J. A. (2015). Deleterious effects of litter on marine life. In Marine anthropogenic litter (pp.75-116). Springer, Cham.
https://link.springer.com/chapter/10.1007/978-3-319-16510-3_4
4) NOAA Marine Debris Program Report, 2016. Marine Debris Impacts on Coastal and Benthic Habitats
https://marinedebris.noaa.gov/sites/default/files/publications-files/Marine_Debris_Impacts_on_Coastal_%26_Benthic_Habitats.pdf
5) GGGI Best Practice Framework for The Management of Fishing Gear, 2021
https://www.ghostgear.org/resources
6) FAO Voluntary Guidelines on The Marking of Fishing Gear, 2019
https://www.fao.org/responsible-fishing/resources/detail/en/c/1470106/
7) 水産庁、2020漁業系廃棄物計画的処理推進指針
https://www.jfa.maff.go.jp/j/press/sigen/200529.html
8) 環境省、2020漁業系廃棄物処理ガイドライン
http://www.env.go.jp/recycle/misc/guideline/gyogyokei/post_55.html
9) Marine Stewardship Council:海洋管理協議会
https://www.msc.org/jp
10) 水産庁、令和元年度水産白書
https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/r01_h/trend/1/t1_f2_1.html
11)BUREO AND WWF EXPAND NET+POSITIVA PROGRAM INTO PERU
https://www.ghostgear.org/projects/2018/11/21/qf8ta90ssp85rbkpd6cqhls0w2mnfi
12)Reef fishing net transformed from “dangerous” to “desirable” ReefCycle sunglasses
https://www.wwf.org.au/news/news/2019/reef-fishing-net-transformed-from-dangerous-to-desirable-reefcycle-sunglasses
13)アクアフィル社 econyle
https://www.econyl.com/
14)リファインバースグループ
https://r-inverse.com/
15)日本経済新聞2022/1/20
https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=2&ba=1&ng=DGKKZO79367900Z10C22A1TB1000&scode=3401
16)テラサイクルジャパン合同会社
https://www.wwf.or.jp/file/20210803_ocean01.pdf