モーリシャスの油汚染事故問題 自然再生の為の中長期的な「ダメージ・アセスメント」の実施を目指して
2020/09/10
モーリシャスでの油の流出事故から1カ月が経ちました。
報道の頻度は減ってきましたが、豊かな海が被った甚大な被害について、今もご心配をされている方は多いかと思います。
日本からも、環境省ほか国が動いて環境緊急調査がすでに行なわれていますが、マングローブのような油汚染に脆弱な生態系については、付着した油を取り除くことが非常に困難なため、今しばらく緊急の対応は続く見込みです。
この問題に対し、私たちWWFジャパンも支援と活動を検討してきました。
現地のモーリシャスには、残念ながらWWF事務局が無いため、パートナーになってくれているのは、隣国のWWFマダガスカルのスタッフたちです。
私たちが検討しているのは、すでに国などの支援が行なわれている油除去などの緊急対応に加えて、必要とされる対応は何か、ということです。
特に、油汚染の問題は、長期的な対応が重要です。
そもそも人の手では回収しきれない上、仮に見た目はきれいになったとしても、流出した油は微小な粒子になって、環境中に残り続けるためです。
また、すでに影響を受けたマングローブが枯死するようなことが起きれば、その環境を拠り所とする多くの生きものたちにも、連鎖的な影響が及ぶ可能性もあります。
過去のタンカー大規模油汚染事故の例では、30年以上にわたり、調査を継続している例もあります。それほどに、環境問題としては重大で、深刻な問題ということです。
そこで、私たちは今、再生のための中長期的な自然への影響を調査しその結果を基に回復計画を作る「ダメージ・アセスメント」の実施を支援するべく、国内外の団体と協力しながら検討を進めています。
報道が無くなっても、問題が終わるわけではありません。
こうした問題の実情や対策についても、ぜひご関心をお持ちいただければと思います。
また、これらの生態系を回復させるための活動の詳細と規模、そして実行を担うことができ信頼して寄付金を託すことができる団体が決まりましたら、皆さまにも募金などご支援をお願いすることがあるかもしれませんので、その折にはぜひ、ご協力をいただければ幸いです。