© Alain Compost / WWF

サギとウシは仲がよい?


穏やかな日差しの下、のんびりと草を食むウシと、その周りにたたずむサギたち。
なんとも心の和む、よい風景です。

この写真を撮影したのは、私たちが現在WWFタイの仲間たちと共に、絶滅寸前のインドシナトラの調査・保全に取り組んでいる、タイのケーンクラチャン国立公園。

タイ最大の自然保護区ケーンクラチャン国立公園。この山並みの向こうはミャンマーです。
© WWF Japan

タイ最大の自然保護区ケーンクラチャン国立公園。この山並みの向こうはミャンマーです。

隣国ミャンマーとの国境に位置するこの山岳地帯の国立公園は、自動車で20分も走れば、深い森の世界になりますが、公園入口にある管理棟やロッジの周りでは、このように家畜のウシがお食事をしている姿が見られます。

このウシとサギが一緒にいることには、実は理由があります。

ウシが草を食べながら移動すると、隠れていた虫やトカゲなどの小動物が驚いて飛び出す。サギたちはそれを食べてやろうと、ウシの周りをついて歩き回る、というわけです。

ウシの周りにいるのはアマサギ。英名はCattle Eagletで、文字通り「ウシのサギ」です。
© WWF Japan

ウシの周りにいるのはアマサギ。英名はCattle Eagletで、文字通り「ウシのサギ」です。

こんな景色は、実は日本の田んぼでも見られます。

今ではさすがに田んぼを耕すのにウシは使いませんから、トラクターなどにお役は変わっています。が、サギがこのトラクターの後ろや周りをついて歩くのは全く同じ理由。
時には数種のサギが、何羽も群がっていることもあります。

実際、田んぼや、その周辺をめぐる水路は、小さな生きものたちの宝庫。
鳥が集まってくることにも、確かな理由があるのです。

WWFジャパンの保全フィールドがある九州の水田にて。イネの根元にアマガエルがいました。他にも数種のカエルが見られます。
© WWF Japan

WWFジャパンの保全フィールドがある九州の水田にて。イネの根元にアマガエルがいました。他にも数種のカエルが見られます。

今、世界的にも貴重な自然の一つである日本の水田が、その豊かさを失いつつあります。

そうした環境に生きる、メダカのような身近だった野生生物たちも、少なからず絶滅危惧種となってしまいました。

未来にのこしたい景観、自然の一つとして、私たちは現在、日本の水田環境を保全するプロジェクトを推進しています

支援キャンペーンも行なっていますので、ぜひご協力をお願いいたします。

田んぼと生きもの保全「失われる命の色」

【寄付のお願い】失われる命の色 田んぼの魚たちと自然を守るために、ぜひご支援ください!

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自然保護室(コンサベーションコミュニケーション グループ長)
三間 淳吉

学士(芸術学)。事務局でのボランティアを経て、1997年から広報スタッフとして活動に参加。国内外の環境問題と、保全活動の動向・変遷を追いつつ、各種出版物、ウェブサイト、SNSなどの編集や制作、運用管理を担当。これまで100種以上の世界の絶滅危惧種について記事を執筆。「人と自然のかかわり方」の探求は、ライフワークの一つ。

虫や鳥、魚たちの姿を追って45年。生きものの魅力に触れたことがきっかけで、気が付けばこの30年は、環境問題を追いかけていました。自然を壊すのは人。守ろうとするのも人。生きものたちの生きざまに学びながら、謙虚な気持ちで自然を未来に引き継いでいきたいと願っています。

人と自然が調和して
生きられる未来を目指して

WWFは100カ国以上で活動している
環境保全団体です。

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