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「サイ」の日に、知ってくだサイ


毎年、9月22日は「世界サイの日」です。

サイの保護を促進するため、2010年からWWF南アフリカがこの日を「サイの日」と定めました。

現在存在するサイは、アフリカに生息するシロサイ、クロサイと、アジアに生息するインドサイ、ジャワサイ、スマトラサイの5種で、いずれも絶滅の危機に瀕しています。

角を狙った密猟による乱獲が、その大きな原因の一つです。

そのため、この5種のサイは、野生生物の国際取引を規制する「ワシントン条約」によって、原則的に商業的な国際取引が禁止され、保護されています。

サイの密猟を防ぐ、ナイロビ国立公園のパークレンジャー。世界では、7時間に1頭のサイが密猟されているといわれている。密猟の被害にあっているのは動物だけではない。過去10年間で1000人以上ものパークレンジャーが密猟者との衝突により命を落とした。
© Greg Armfield / WWF-UK

サイの密猟を防ぐ、ナイロビ国立公園のパークレンジャー。世界では、7時間に1頭のサイが密猟されているといわれている。密猟の被害にあっているのは動物だけではない。過去10年間で1000人以上ものパークレンジャーが密猟者との衝突により命を落とした。

そして、日本国内では、ワシントン条約を受けて「種の保存法」によりサイやその製品の取引が規制されています。

このように、サイを含む希少な野生動植物には、取引規制がかけられていますが、残念ながら、希少な野生動植物が違法に販売される例が存在します。

サイはその「角」を狙って密猟され、伝統薬の原料等にされる。現地では貧困を理由に住民が密猟に手を染める例もあるが、得られる手数料はごくわずかで、大半は密輸を行なう犯罪集団にお金が流れている。日本のECサイトでもサイの角を語った出品が存在した。
© Ola Jennersten / WWF-Sweden

サイはその「角」を狙って密猟され、伝統薬の原料等にされる。現地では貧困を理由に住民が密猟に手を染める例もあるが、得られる手数料はごくわずかで、大半は密輸を行なう犯罪集団にお金が流れている。日本のECサイトでもサイの角を語った出品が存在した。

「密猟」と聞くと、一見、「遠い国のこと」に思えてしまうかもしれません。

しかし、密猟それ自体が他の国で起こることであっても、角や牙、毛皮を手にしたいと思う人がいれば、そこに商機を見て売ろうとする人が出てきます。こうしたことが、密猟や過剰な捕獲、違法な取引を生む、一番の原因になるのです。

消費者にできることは、野生生物やそうした生き物で作られた製品を安易に欲しがったり、気軽に売買したりしないこと。

そして、消費者一人一人が知識を身につけることです。

「サイ」をとおして、日本や世界で起きている「野生生物やその周辺の人々の危機」を知る日にしていただけたらと思っています(下記関連リンク参照)。

私たちは、これからも違法な野生生物取引や持続可能でない野生生物取引をなくすため、活動を続けていきます。
(野生生物グループ担当:柴田)

写真のサイは、ケニアに生息するクロサイ。サイの生息地である草原やサバンナ、熱帯林などの自然破壊も深刻で、サイ存続の大きな脅威の一つとなっている。
© naturepl.com / Tui De Roy / WWF

写真のサイは、ケニアに生息するクロサイ。サイの生息地である草原やサバンナ、熱帯林などの自然破壊も深刻で、サイ存続の大きな脅威の一つとなっている。

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自然保護室(野生生物)
柴田 有理

法務博士。大学院卒業後は官公庁に勤務。法律等による取締りの実務に携わった後、2023年にWWFに入局。現在は違法な野生生物取引及び持続可能でない野生生物取引対策業務を担当。

プライベートでもWWF会員。たくさんの人が地球のことをポジティブに考えられる未来を目指して日々勉強中。気になる動物はアオウミガメとセンザンコウ。

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環境保全団体です。

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