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福岡の企業が野生動物を含むペット販売終了へ!


2022年5月、総合ディスカウントストアを展開する福岡県の企業が、ペットショップを通じて行っている犬や猫、ハムスター、ウサギ、熱帯魚など全ての動物の販売を2025年末までに終了することを発表しました。

これらの販売動物の中にはナマケモノやコモンマーモセットなどの野生動物も含まれていました。

ノドジロミユビナマケモノ(Bradypus tridactylus)。日本では主にフタユビナマケモノ(Choloepus didactylus)がペットとして販売されています。
© Michel Gunther / WWF

ノドジロミユビナマケモノ(Bradypus tridactylus)。日本では主にフタユビナマケモノ(Choloepus didactylus)がペットとして販売されています。

今回の決定について、この企業は2021年末に策定したサステナビリティ基本方針で掲げる「商品提供を通じたエシカル消費の推進」、「社会問題解決への参画機会創出」の目標に基づくものだとしています。

今、日本では「環境・社会・経済」の持続可能性に配慮した企業の「サステナブル経営」が広く求められており、環境面で世界的に注目されているのが生物多様性の保全です。

日本は世界有数の野生動物のペット市場。

今回の発表を行なった企業でも販売例のあった、ナマケモノやサル類をはじめ、フクロウやトカゲといったさまざまな野生動物が、多くのショップでぺットとして販売されています。

しかし、こうした野生動物のペット利用は過剰な捕獲や違法取引を喚起し、その動物を絶滅の危機に追い込んだり、生物多様性の損失を招くことが指摘されています。

国際的に野生動物の利用は、環境・社会面の問題への懸念から、規制を強化する動きが強まっており、ペット・ビジネスなどを手掛ける日本企業にとっては、これがビジネス・リスクとなる可能性が高まっています。

このため、野生動物を商業的に直接扱う企業だけではなく、間接的に利用する企業も含め、自社や提携先が持続可能な事業を行なっているかを確認し、改善に取り組むことが必要です。

WWFジャパンでは、今後も野生動物のペット利用に関わる企業に対し、責任ある事業の実現を求めてゆきます(野生生物グループ 岡元)。

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自然保護室(野生生物)、TRAFFIC
岡元 友実子

獣医学修士(ソウル大学)/ 学芸員 / IUCN カワウソ専門家グループメンバー
学部から大学院に至るまで、野生動物について専門的に学ぶ。修了後、上野動物園など日本および台湾での動物園勤務を経て、2021年WWFジャパン入局。現在はペットプロジェクトに関連した業界変容を担当。

学生時代に海外で野生のカワウソを見たことをきっかけに、大のカワウソ好きに。「二ホンカワウソ絶滅」の悲劇を二度と起こしてはならない!の決意を胸に日々野生動物保全のため奮闘中。特技は語学(英語・中国語・韓国語)。

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