日本人によるベッコウ密輸事件発覚!
2021/02/26
先日、日本人の事業者がベッコウを密輸した疑いで逮捕される、というニュースが飛び込んできました。
「ベッコウ」は、ウミガメの1種タイマイの甲羅を使った装飾品の材料のこと。
古くからアクセサリーやメガネのフレームなどに利用されてきました。
しかし、甲羅を目的とした乱獲や、漁網に誤って絡まり命を落とす混獲などが原因で、タイマイは激減。
現在は生息国の多くで保護の対象とされ、甲羅の国際取引も1977年より全面的に禁止されていますが、今なお深刻な絶滅の危機にあります。
日本は1994年まで国際取引禁止を受け入れず、輸入を続けていました。現在も、輸入禁止前に海外から輸入された甲羅の在庫が国内にあり、ベッコウ製品の製造と国内取引が行なわれています。
しかし、この在庫を利用したベッコウ製品には、一つ問題があります。
新たに密漁され、密輸されたタイマイの甲羅を使った製品が混ざりこんでも、日本の市場ではそれを区別することができないのです。
こうした状況の中、ベッコウを扱う事業者が違法行為に及んだことは、由々しき問題です。
日本の規制の甘さが、こうした違法行為を許してしまう現状は、他の事例でも見受けられます。
象牙については、密輸入ではなく、日本から中国などに密輸出する事例が後を絶ちません。
こうした国際社会において保護・規制強化が進む野生生物由来の製品が、日本の市場で今も取引され続けている問題に対し、私たちWWFジャパンでは、政府に政策の見直しを要望しています。
世界の野生生物に影響を及ぼす可能性のある、日本の国内取引や野生生物の利用の在り方を、消費者の視点もまじえながら、今一度考える必要があります。