淡水イルカ全種に絶滅の危機 ~IUCNレッドリスト更新(2020年12月)~
2020/12/11
IUCNレッドリストが2020年7月に続いて12月10日に更新され、3万5,765種の野生生物が、絶滅の危機にあることが指摘されました。
今回、保全活動が成果をあげ、絶滅危惧種のカテゴリーからはずれた例としてヨーロッパバイソンが強調されています。
ただ、ポーランド、ベラルーシ、ロシアに47の野生の個体群がありますが、孤立しており、将来は生息地を保護区化して、交流できるようにする必要があるとされました。
一方、南米のコビトイルカがEN(絶滅危惧種)となったことで、淡水に生息する世界のイルカ全種が絶滅のおそれのある種となってしまいました。
原因は、漁具にからまって命を落とす混獲や、ダム開発、水質汚染などです。
フィリピンにあるラナオ湖と流域の17の淡水魚は15種がすでにEX(絶滅)で、2種がCR(近絶滅種)になっています。
WWFの『生きている地球レポート2020』にもある通り、淡水域は人類にも有用であることから、特に激しい開発にさらされてきました。その影響がレッドリストにも見てとることができます。
さらに、カエルツボカビ症という感染症によって、中米では3種のカエルが絶滅に至りました。さらに、中南米のカエル22種がCR(近絶滅種)に。この22種は科学的には確定していませんが、すでに絶滅している可能性があるとされました。
来年、生物多様性条約締約国会議が予定されており、2030年までの保全の世界目標が議論されます。
ヨーロッパバイソンの例で保全活動の意義が確かめられた今、意欲的な目標を掲げ、目標達成に向けて、一層努力を傾ける必要のあることが明らかになったと言えるでしょう。